第10部 ブルー・スウェアー 第17章 悪魔の子 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー
真一はあずさと真剣に向き合っていたはずだった。少なからず真一の中であずさは色気でせまられた経緯(いきさつ)があったとはいえ、彼女の夢を真剣に応援していたし、自分には勿体ないくらい綺麗だと思っていたけれど、それでも真剣だった。愛那を嫌いだと思ったことはないけれど、やはり真一の中ではあずさは別格だった。愛那はあずさと比べると何かが足りないと思うし、死別した女房がいるからまだ籍はいられないといったのは本当は嘘だった。女房とは確かに死別だった。ガンを患っていた。それだって自分が浮気したり、ホステスなどにいれあげたりしていて、ひょっとしたらストレスを与え続けていたからかもしれないと思いつつも苦しい時代を支えてくれた女房の献身にさえ、ぞんざいな態度を取り続けていた。自分がストレスを与え続けてガンになったとしても、それはそれでそんな自分から離れることなくしがみ続けた自分が悪いのだからと自分の態度や言動を顧みることはなかった。真一はいつだって俺様気質でしかなかった。自分の考えや意見がすべてが正しい。それ以外に少しでも自分に盾をつくものは許せなかった。そんな自分の性格を知っている従業員達は陰では自分の悪口をいっているような感じは薄々気づいていたけれど、自分の前では反旗を翻すこともなく今いる従業員は従順だった。過去に自分に盾をついてやり方に口を挟んできた者がいたけれど、やめさせる方向にもっていった。居心地を悪くさせて、孤立させるようなやり方だった。そんな陰湿なやり方は大阪で大工修行をしていたとき、支持していた親方は異を唱えるものは容赦なくやめさせる方向にもっていった。それは人をやな気持ちにさせる心理戦のプロの職人のようなものだった。
真一は今の自分があるのは時には容赦なく、冷徹無比であっても切り捨てる姿を従業員にみせつけてやるのも一寸先は君たちも闇なんだよ、と統率をはかる意味でもそれはそれで必要だと思っていた。小さなことを大袈裟にして騒ぎたてたり、子分たちも関わらせないように、分断政策で精神的に弱らせてやめる方向にもっていった。あんなに仲良くしていたのに、自分の生活がかかっていることを感じとると手のひらを返したみたく、冷たくあしらっていた。頭の悪い中学生の集まりのような会社なのかもしれないと思いながらそれでも自分がトップなのだから、それに従わないものはそんな風に切り捨てては忘れていった。3歩歩けば忘れる鶏みたいだと揶揄されたこともあったけれど、女に関しては違った。妻は女としてというより、真一にとっては女としての対象というより、空気みたいな存在だったからどうでも、しいてどうみていたかといったらどうでもよかった。どうでもいい存在だった。恋愛結婚というより、中学から一緒で幼なじみで俺様気質に慣れていたせいか、どんな侮辱があろうが、暴言があろうとも気にしていたり、必死に耐えているというより、何を言われようとどうでもよいという割り切ったような態度で気にしている様子はなかったけれど、それでも大事に扱われていない訳だから面白いと思って暮らしていた訳ではないからストレスを常に家庭に抱えていたのも事実だったろうからきっと遠因として日頃の妻への態度や愛というより、家政婦としてぞんざいな態度を日々取り続けていたことが、ガンという病気に繋がったのかも・・・と何となしに思っていたけれど、それでもその頃は別の一人の女性に夢中だった。それは梅田でクラブ通いで知り合った1人のホステスに夢中だった。

p.s

昨日SNSでパンとケーキの先生で加えて料理も超ー一流の人で、何もかもがオシャレでハイセンスな人なのですが、あるケーキを作ってそのケーキ  を人生に例えて、私の人生は大きな幸運のかたまりでこのケーキのようだと言ったんですよ!?凄くないですか?自分の人生を大きな幸運のかたまりって言えるなんて凄いなぁーと思います。そう言えるようになりたいよぉ〜