第10部 ブルー・スウェアー | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー
奈緒はいっとき湿っていたけれど、アルコールの酔いに任せていつしかいつも通りの明るい感じに戻っていた。少し不自然なハイテンションのような感じがしていたけれども、いつしかいつも通りに戻り内心ホッとしていた。陽はあっという間に暮れ、あっという間に暗闇に包まれていたけれど、キャンプのように焚き火を灯しながら過ごしていた。
明石海峡の海の向こうには橋にはレインボーの明かりが灯っていた。
「久しぶりにみるわね。本州の人がこちらに渡ってくる時はこの光景にとっても感動するみたい。ずっーと住んでいると何の感動すらもないんだけれどね」奈緒は正気に戻りながらいった。
「これからもこんな長閑すぎる、田舎の日々を過ごしていくんですよね!」愛那は少し退屈そうにいった。
「たぶんね!でもここを離れることをあいつを忘れるためにはいいかもしれないよね!」
「会社をやめるということですか?」愛那は意外そうにいった。
「場合によってはね。もう4年もいるし・・。今すぐどうこうのって訳
じゃなくてあまりに精神が落ち着かないようならそれはそれでありかもって思う。こんな狭い田舎町にいたらいやでもあいつの噂が入ってくるの。その度に私がどんどん惨めになっていくの。死にたくなることだってあるのよ!」奈緒はサラリと本音をこぼした。
「・・そんな事で早まったりしないで下さい!」愛那はそれしか言葉がみつからなかった。
「大丈夫よ。合コンいってどんどんいい男をみつけて、あんなの忘れてやるから!」
「その調子です。その調子!!」愛那は少し調子を盛り上げてきた奈緒を盛り上げるようにいった。
「さっ、撤収しよー!!」奈緒は周りにいる女子たちに声をかけると、女子たちは手際よく撤収作業をテキパキとした調子で片付け始めた。30分もすると一通り片付け終えた。
「ねぇ、折角だから皆で集合写真でも撮りましょう!」結衣は大きな声でいうと、女子6人が集まってきていた。
結衣は適当に写真をとってくれる人を探していると、道行く散歩がてらの老人の男性が通り過ぎようとしていた。
「あの・・・写真とってもらえないですか?」
「あぁ・・・はい、いいですよ!」老人は結衣からスマホを受け取るとどう操作していいのかわからないといった表情でみていた。
初老の老人は操作に困った面持ちでいると、ミニスカートの結衣が「ここを押してください」と優しく指示をだした。
「あぁ、ここだな。わかった!」わかったといわんばかりに微笑みをうかべると、結衣は最後に加わった。
「はい、押すよ」
6人全員がポーズを決めた。それぞれの想いで。スマホのシャッターはその瞬間を間違えなく捉えた。もう二度と戻らない何気ない時間を刻むように・・・。
カシャッ!