第10部 ブルー・スウェアー プロローグ | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー


愛那は固唾を飲んで動けずにいた。

「いい加減にしなさい。そんなことで命を早めてどうするっていうんだ。家族が悲しむだろう!!」ドラッグストアの店員がマイクをもってきて、立ち尽くしている老女に説得するようにいった。老女は口を一文字にぎっと結んでいた。愛那は目を大きく見開いて凍りついている。

「悲しむ家族なんていりゃしない」老女は何も話さないのかと思いきや反抗するかのように話し始めた。

「そんな事はない。あなたにだって家族はいるでしょう?」思いがけない老女の反抗に少し安心したような少しゆとりのある口調に変わった。

「心配する人は少なからずあなたにだっているでしょう?」ドラッグストアの店員は老女を嗜めるようにいった。

「あんたに何がわかるっていうの?何もわからないクセに偉そうな言葉をいうんじゃないの!!適当なことをいうんじゃないの!!」老女はマイクを持っているドラッグストアの店員をきっと睨みながら言い返した。老女の反抗ドラッグストアの男の店員も同情から少しムカっとした表情(かお)に変わったのを愛那は見逃さなかった。

「私は人生、ずっーとみんなから無視され続けてきたんだよ。無視だよ、無視ー!!」老女は<無視>という言葉を強調しながらいうとドラッグストアのの店員はどう返答してよいのかわからずにいた。

「・・それは思い込みでしょう?それは違うと思う。冷静になって考えてみたらきっとそれは違うと思う。とにかく無視されたからといってこんな風に騒がせて何もよいことはない。なんなら私でよければいくらでも話を聞くから馬鹿げた事はやめて早く降りてきなさい。あなたにあった薬を処方してあげますから!」ドラッグストアの店員の言葉に愛那は思わずクスッと笑った。

(相変わらず、お騒がせな人ね・・)

老女はドラッグストアの店員の言葉に素直に俯くと一歩、後退りをした。

「わかった!」老女は唇を噛みしめるともう一歩後退りをした。

(やっぱりいつものお得意な自演自作ってヤツね。意地悪で死ぬ勇気なんてないないクセに構って欲しくてまた見苦しいことをしているのね。夢とは真逆だわ)

愛那は内心軽蔑するように、フンっとして、立ち去ろうとした時だった。

「危ない!」通行人が思わず叫んだから愛那が後ろを振り返ると、老女はよろめいていた。自分の意思でよろめいている訳ではなく、あきらかに突発的に起きた偶然というもので、よろめいていた。その瞬間、老女はつまづいて、アスファルトと落ちた。愛那は自分の足元近くに直下した老女をみて、思わず呆然とした。

愛那は目を大きく剝きだすように見開いた。あまりにこのシュチュエーションがドラマより冷たい現実だと思った。

「誰か、救急車を呼べー!!」

さっきマイクを握っていたドラッグストアの店員は慌てて店に入っていた。

あまりにドラマより出来過ぎた設定に愛那は呆然としていた。愛那が今しがた絶句した2つ目の理由は誰よりもこの人のことを知っていたから。


p.s
今日は知りあいの方とケーキを作って、終わったあとにずっーとごはん食べながらおしゃべり。意外と楽しかったウインク



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ブルー・スウェアーのプロローグは終わりました!12月から執筆を頑張らないとー!!執筆と研究を頑張るぞ💪