第7部 私の愛まで 第10章 妹の運命の人 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー
 ー青山通りであの家の内情を知っている人たちはあの長男の嫁が嫁いできた時半分哀れむようなことをいう人たちもいたわ。何にも知らないあの嫁はあの大きな豪邸に嫁げた喜びでいっぱいそうだったから水をさすようなことは何も言わなかったけれどあの家の悲劇の伝説を知っている者はみんな内心は哀れんでいたわ。長男が一番最後に結婚したじゃない?だからそれまであの兄弟にとついできた嫁の悲劇的末路を知っていた。みんなおかしくなってしまう。精神病院行きなのよ。幻覚症状が起こるらしい。女の泣き声が聞こえるっていうの。気がおかしくなって離婚したものや精神病院にいった嫁もいたわ。

ーそれなのに、不思議よね!あの嫁は全然おかしくならなかった。いつも溌剌としていて笑顔を絶やさないの。あそこの家に嫁いだ嫁はみんなすぐにおかしくなったりしていたんだけれど10年絶ってもあの呪われた家で元気で暮らしていたのが不思議だった。あの嫁のママ友世代は何も知らないだろう。もう少し上の年齢になるとあの嫁がいつ呪われておかしくなるかって内心、思っていたんだよ!そんな風に思われているなんて露にも思わずキレイで明るい人だったよね? あの人は。よく出来た嫁だと思うよ。
あの長男の嫁、奈央子さんは何であんなに元気でいられるのだろう?確かにあの会社は摘発されたけれどあの嫁は気丈だったし、立派だったと思う。何であの嫁はおかしくならなかったのだろう?青山通りのもう一つの謎ですよね?七不思議の一つですね。彼女は呪われなかったのはどうしてなんでしょう?ー

年配のマダム達は老舗のコーヒー屋てコーヒーとケーキを食べながらあの家の噂をしていた。ここのマダム達にとってあの長男の嫁の奈央子は不思議の何者でもなかった。まぁ、呪いなのか、旦那は逮捕されたけれど、あの家の代々の嫁はおかしくなったのにあのいかにも純朴そうでやわそうなあの女に何もないなんて不思議すぎる!あの呪われた家に何ともないなんて、不思議すぎる。あの自殺した女性はこの嫁だけは許せる何かがあるというのだろうか?コーヒーをのみながら一人の気品漂うマダムは「呪われた家」のふと疑問を感じた。何か彼女は捉えどころのない不思議な人だった。昔から。