第3部 理想の愛  第3章 真夜中のバドミントン | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

あの日もそうだった。夏の暑さがうだるあの日も父親・宇佐見平蔵に訳もなく怒鳴られて一人泣いていた。由利江に気持ちをわかってもらいたくて泣き喚いても叫んでも由利江はただ一言「うるさい」といわれ「あんたが悪いの」そういって邪険にあしられた。千広は耐えられなくて気がついたら家を飛び出していた。行くあてもなくたどりついたのは隣町のS高のグランド。校庭で街で噂のバスケ部のエースだった恭一が練習していた。恭一にちゃんとあった初めての日だった。灼熱の太陽がアスファルトを蜃気楼のように揺らしていた。恭一を目当てに女の子達がフェンス越しに見に来ている。恭一のランニング姿を目で追っていくうち平蔵に叱られ、由利江に庇ってもらえない空洞のような寂しさはどこかに吹き飛んでいた。練習を終えて校舎に入って行こうとする恭一を満面の笑みで呼び止めた。

「写真撮らせてくれませんか?」恭一の振り向きざまに千広優しい笑みを浮かべた。

「あ、はぁ・・・・・」恭一は顔にめんどくさそうな顔をしながらも一緒に写真を撮ってくれた。あんなにめんどくさそうな顔をしていたのに二人で写っているシャッターを押した瞬間だけは笑顔で写っていた。恭一のよこで真っ白な歯を覗かせて笑う千広の顔には家出娘とは思えないほど喜びに満ちた顔をしている。

恭一が突然姿を消してから7年が経ちこの写真をとってから9年が経過している。偶然東京の広い空のしたで再会したとき恭一に言った言葉を思い出す。

「もう7年が経ってしまったよ。もう7年だよ」

千広は暗がりの中お布団をあげ起き上がる。

千広は由利江の寝顔を見ながらつぶやいた。

「いつもあたしのこと守ってくれなかったね


                                         つづく、、、