夫が帰って来ない。何度も携帯を鳴らしたけれど出ることがなかった。由花は頬杖をつきながら壊れそうな位の不安に襲われた。
(勇起に捨てられたらこれからどうなるの?中国に帰らなくてならないの?)テーブルの一点を見つめながら氷のように固まっていた。
(他に女でも出来たのだろうか?もともと契約結婚だったのだからいてもしょうがないのよね)
ピンポーン。
藁にもすがる思いで玄関までかけていきよいよくドアを開けた時由花は凍りついた。
「よう、そんな怖い顔して・・」カン・ヨンクが悪巧みな笑みを浮かべながらドアを全開に開いた。するとカン・ヨンクの後ろには見慣れないもう二人の男も由花を見つめていた。三人の男は土足で部屋に容赦なくズカズカ入ってくる。恐怖に後ずさる由花。
「だ、誰か助けて・・」
「わたしらが何か危害でも加えました~?何もしてないでしょ。」
「勝手に上がって来ないで!」
「これは、失礼。ねぇ、、由花さん、旦那様は?確か今日はお休みじゃないですか?」
「いないわ・・」辛うじて吐き出す由花。
「何処にいらっしゃるのですか?」にじり寄るカン・ヨンク
「知らないわ!」
「またまた・・どこにいらっしゃるのですか?大切なお話があるのですよ。」
「私も知りたいのよ」冷静に努める由花。
「夫婦不和で逃げられましたか?遂に・・お互い悪(ワル)なんだから同じ穴のムジナ同士仲良くやって行くのかと思いましたよ」
薄ら笑いを浮かべるカン・ヨンク。
「帰って!」
「用が済めば!・・帰れなんて偉そうに言えた義理じゃねぇだろう!」カン・ヨンクは金切り声で声高に叫び由花ににじりよると髪の毛をひっつかんだ。
「君の相場は安かった・・とんだ誤算だったよ」
由花の目から涙があふれる。 つづく