彼女の名はキャシー。たぶん50歳くらいで、一見ごく普通の主婦風の白人アメリカ人女性です。
数年前に離婚し、更に失業し、その後仕事が見つからないまま失業保険の受給も切れてしまった。
彼女には無職の22歳の息子さんと、高校生の息子さんがいる。
知人の勧めでリアルターになることに決めたそうだが、先月の勉強会で会った時は、こう言っていました。
「コースが終わった後も経済的に不安で勉強に集中できないの。
それに試験を受けるとなると協会への登録料、州の試験の受験料とか色々お金がかかるでしょう?そういうのを考えると、問題集を買う余裕もないわ。せめて何かパートの仕事が見つかってから、試験勉強に集中したいと思っているの。」
10月にその話しを聞いた時、私が試験に受かったら彼女に問題集を譲りたいと思っていました。
失礼かなと思ったけれど、よかったら私の問題集を使ってくれないかとメールしてみると、喜んで引き取りたいとのこと。
私の問題集もソルのお古だし、書き込みもしてしまっているのだけど、ほとんどが鉛筆でしてあるので消しゴムで消せば使える。

そして昨日キャシーと数週間ぶりに会い、色々お話をしました。
彼女は最近パートの仕事が見つかり11月から働いていると聞き、安心しました。でも、時給8ドルで午前中だけの週に20時間のパート。
これで少し安心して勉強に集中できるけれど、今度は今年の春に大学を卒業したばかりの息子さんの就職がずっと決まらないことを心配していました。
現在アメリカの大学新卒者の2人に1人が就職できず、多額の学生ローンを抱えて路頭に迷う若者が多いとは聞きますが彼女の息子さんもそうだったとは。
キャシーは、
「私も大学は出ているのよ。専攻が歴史だったから趣味みたいなものね。息子も、直接職には結びつかないような専攻だったからいけないのね。」
と苦笑していました。
オバマ政権のお金のバラマキは目に余るものがありますが、教育に関することで税金を使うのは別に悪いことではないと思っていました。
しかし、これにも問題があるようです。
低金利で政府が貸し出す学生ローン、私はてっきり、ご両親の収入の上限、授業料のみに使えるなど、規制があるのだとばかり思っていましたが実はそうではないそうです。
キャシーの息子さんのように本当に授業料に使う学生もいますが、ご両親がしっかり授業料を払ってくれているのに、車を買うお金や旅行に行くお金が欲しくて学生ローンを組み、卒業後に就職先がなく手元にあるのはローンだけという若者が多いのだとか。
彼女もこの制度はおかしいと言う。
彼女は、「私はまだ若くて健康で働けるのに政府のお世話になるわけには、つまりは人様が一生懸命働いて出た税金を自分の生活のために使うわけにはいかないわ。」と言っていました。
聞かなかったけれど、キャシーはもしかしたら今回の選挙の結果を不満に思っているのかもしれません。
(*後にメールで判明しましたがやはり彼女は共和党で、今回の選挙の結果にやる気や希望をなくしてしまったそうです。)
キャシーの話しを聞いて、何年か前に私が翻訳をした薄い本のことを思い出した。
お子さんが野生の鳥に餌をやっているのを見て両親がそれを止めるのですが、子供はどうして野生の鳥に餌をやってはいけないのか分からない。
野生の動物に人間が餌を与えるようになると、餌を与えられるのが辺り前のことになり、どんどん怠けてしまい、そのうち自力で餌を捕れなくなってしまう。一生面倒みられるわけではないので、餌を与えるのは長い目でみて本当の意味で野生の動物のためにいいことではない。
という話しでした。
もし怪我をして餌を捕れない鳥がいたら一時的には人間が手助けをしてもいいと思うけれど、健康な鳥達にもそうしていたら、そのうちに自力で餌を捕れなくなってしまう。
一方で、必要最低限の本当に必要な鳥にしか餌は与えない。元気で、努力次第で餌を捕れる鳥には、餌そのものではなくできる限り自力で餌を捕れるような環境を整えようとする(お金ではなく雇用を与える)のが共和党の考えに近いのではないかという気がしました。
もちろん、共和党にもいろいろ懸念事項はある。
でも、キャシーのような人の話しを聞くと、今の政権はやはりおかしいのではないかと思う。
これはキャシーからお礼にといただいたピーカンナッツ。
