今日からまた1週間の始まり。

日曜からのスタートにもすっかり慣れました☆



みな子さんはアルツハイマーが進行し、以前からある骨粗鬆症の影響もあって歩行困難になり、意識もほとんど1日中はっきりしない。目をつぶっている時間が長く、寝ているよう。今は座位を保つのも難しいので、ベッドで寝ている時以外は車いすに腰掛け、介護用の柔らかいマットやクッションに体を支えてもらい、なんとか座位を保っている。


時々、目が開いていて意識がはっきりしていることがあり、その時はほんの少しだけ会話をすることができる。その会話も、意思疎通できているものからできていないものまで様々だけれど。

少し前風邪をひかれ、その時肺炎の一歩手前までいってしまい、入院ぎりぎりということがあった。それ以来少し弱っていて、今もまだ痰が出ている。


寝たきりの人が風邪や肺炎を起こした場合、・・・というか様々な病気で多くの人が最終的に必要となるのは“痰の吸引”。寝たきりの状態が続くと、自力で痰を出せなくなるため。

これは今とても問題になっていることで、去年頃から厚生労働省でも検討会が行われている(はず)。

何が問題かと言うと、この痰の吸引(排痰行為)は医療行為で、医師、看護師のみが行える行為。


そんな行為だが、医師と看護師以外に認められているのが、家族。

入院が必要でないと診断された場合、自宅には医師も看護師もいないわけだから、痰の吸引も家族が行わなければならない。ヘルパーやその他の職種も、在宅において条件が満たされれば、研修を受けた人はすることができるけれど、基本は家族が行う。


みな子さんも、今回痰がうまく排出できないということで、ご主人が研修を受けた。

もともと八百屋さんをしていて、とても体育会系のご主人。

研修は受けたものの、口からチューブを入れて気管に挿入していくなんていう難しく、恐ろしい行為をしたいわけがない。ご主人できるのかな、、、と気になっていた。

「痰の吸引、どうですか?」と聞くと、「なかなかできねーよなあ」とおっしゃっていた。

しかし、みな子さんの痰が治まらないため、「できない」とは言っていられない状況になってきた。

自力で痰が切れる場合もあるが、ごろごろと気管のあたりでたまっている音が聞こえることもあり、それが続いてしまうとちょっとしたきっかけで詰まって呼吸困難になり命に関わるのだ。


覚悟を決めたご主人は、ひとりだと不安だからということで、ヘルパーさんが来ている時間帯に吸引をすることにしたそう。医療にまったく関わったことがなく、80歳を超えているご主人。

そのご主人が奥さんの痰を吸引するってどんな気持ちなんだろう。

2030年には、高齢者の独居及び高齢夫婦のみの世帯が7世帯に1世帯となると新聞に書いてあったけれど、こういう医療行為も高齢の方がやらなくてはならないって、大変だと思う。


「専門家じゃねーからよー 要領がわかんねえよな」「だけどなんとかちゅるちゅるやってるよー。たぶん取れてんじゃねえかなあ」と話すご主人。とっても、がんばっている。


そんなご主人、みな子さんに本当に優しいのだ。

言葉や接し方に愛があふれている。

家族の誰かが認知症になった場合、多くの家族が混乱し、家庭崩壊直前まで進むことも珍しくない。

介護者の本人に対する対応も、冷たくなったりきつくなったりすることが多い。もちろん、病気に対しての正しい知識がないからそうならざるを得ないのだと思うし、24時間介護していたらどれほど大変かもわかるけれど。

そういうご家族が多い中で、みな子さんのご主人はとにかくとにかく優しくて、みな子さんがどう変わってもすべてをそのまま受け入れている。


デイから帰り、車から自宅の車いすに移乗する時、

「お、寒いだろ、早く中入ってあったまろうな!」と言って体をさすってあげたりする。

みな子さんの意識がほとんどなく、目をつぶった状態でも。







この仕事は本当に毎日楽しいのです。

楽しいことはたくさん起るのだけれど、その中のおもしろいことのひとつとして

利用者さんたちの会話があります。

バカにしているわけではなくて、認知症のおばあちゃんが言うセリフなんて、本当にユーモアに溢れてる!こちらも参考にしたいくらい、おもしろくて楽しい話をしてくれるのです。

介護は笑いから。

こちらが無理に笑わそうとしなくても、人生の先輩方の話にはいつも笑いの種がたくさんо(ж>▽<)y



今日。

春子さん。

アルツハイマー型認知症の利用者さん。


認知症の方は、いくつかの種類があるけれど、短期記憶の劇的な衰え、感情のコントロールが困難になる、理解力が低下する、コミュニケーションがとりづらくなる、、、病気の経過としては、その後歩行困難になり寝たきりになる、というのが一般的なもの。


春子さんはとても穏やかな性格。記憶はほとんど残っておらず、『すみれ』が何をする所でどういう所で、何のために来ているかなど、何もわかっていらっしゃらない。スタッフと他の利用者さんの区別ももちろんついておらず、『すみれ』の存在自体覚えていないくらいの状態。


ニヒルな感じでさっぱりしていて、とてもおもしろいことをサラっという春子さん。

いつもおもしろいことをおっしゃるので、スタッフも他の利用者さんもそのセリフに爆笑してしまうことしばしば。


先日。頭の体操でしりとりをしていたところ、毎回自分の番に回ってくるたび、ちょっと変わった、珍しい言葉を選んで言う。

周りの方も、春子さんの順番が来ると自然と笑みがこぼれ、「何か面白いこと言うわよ(笑)」と楽しみにしている。

次に春子さんの順番がきたときの頭の文字は、“も”。

“も”がつく言葉・・・  春子さんはなんていうだろう、とわくわくしていると、


「も、ね・・・。う~~ん・・・。そうね・・・・。  “モテないこども”」


と答えた。

も、も、も、、、モテないこども・・・・!!

“もも”とか“もぐら”とかでなく、“モテないこども”とは((((((ノ゚⊿゚)ノ

そもそもなんでモテないこども??

さすが春子さん(笑)

しかもそれをクールな顔をして大真面目に答えるものだから、皆大笑いでした。


その春子さん、今日は帰り際、

私 「春子さん、また来週お待ちしてますね。ちゃんと来てくださいよ~~( ̄▽+ ̄*)」


春子さん 「楽しかったわよ。そうね、またそのうち来ようかしら」


私 「そのうちじゃなくて毎週来るのよ~ヘ(゚∀゚*)ノ」


春子さん 「そうね、じゃあ今度来るときはおせんべいでも持ってこようかしらね」


私 「何にも持たずにどうぞいらしてください(*^.^*)笑」


春子さん、ご自分が毎週いらっしゃっていることはわかっていないようですが、今日もとてもにこやかに和やかに帰って行かれました。

それが何より。

記憶が残っていなくても、不思議と「楽しかった」「うれしかった」「ここはいいところ」「ここへ来ると楽しいことがある」・・・・・

そういう感情面は認知症になっても最後まで残るそうです。

今日、今、その時をめいっぱい楽しんでもらう。喜んでもらう。幸せを感じてもらう。

そんなお世話ができたらいいな、と思うのです。








絹子さん。お年は80とちょっと。


絹子さんは認知症と本態性振戦の利用者さん。

振戦があるため手や腕が自然とふるえてしまい、食事も箸を使えずスプーンとフォークで召し上がっている。

杖を使っているけれど歩けなくはないし、足はそんなにふるえないので何とか生活はしていける範囲。


それよりも認知症から来る(と医師からは診断されている)、“自分を病気だと思いこむ”ことの方が重大で、絹子さんのQOLを大きく低下させている。


何と言っても、とにかく、“おしっこに行きたくなってしまう病”なのだ。そしてそれは時に“便秘なんです病”に変わる。


本人は認知症なので、あくまでもわざと困らせようとして訴えているわけではなく、本当につらい様子。訴えられるこちらもかわいそうになってしまう。どうにかしてあげたいのだけれど・・・。


とにかく、10分置きくらいにトイレに行き、その他の時間はほとんど寝たきり。といっても寝かせているわけではなく、本人が「いつも家でも寝たきりなんです、寝かせてくださいよ・・・。疲れて座っていられないんです」と繰り返し訴えるのだ。医師によると膀胱自体には以上はなく、便秘を訴える時にも実際便はたまっていないとのこと。


実際自宅では24時間ねっぱなしで、していることといったらトイレとベッドの往復。自宅でもトイレに行きたくなってしまうのは同じよう。ご家族もあきらめていて、本人の好きなようにさせている様子。

別のデイサービスに週のほとんどを通っていたのだけれど、そこでも1日中寝てしまい、さらにスタッフを見つけると「おしっこに行きたくならない薬はないんですか・・・」「つらいの、おしっこに行きたくなってさっき行ったばかりなのに今もまた行きたいの・・・」と繰り返し訴えるので、困り果てているという。

そこで、1日のなかで少しでも起きて座って活動する時間を作ってもらいたい、とケアマネさんから依頼され、うちのデイサービスに来ることになったのだ。


週一回の通所で、果たして状況は改善されるのか・・・。週4日くらい通っていただければ、色々なケースでかなり改善の効果が見られているけれど、自宅やもう一つのデイでは寝かせきりなのに、『すみれ』だけで起こすように教育するというのはなかなか難しいような気がする( ̄ー ̄;


そんな絹子さんの通所が始まって、5回。年末年始の休みが入ってしまったので、今年に入ってから2回目だが、今日は素晴らしい前進の第1歩がありましたヾ(@^▽^@)ノ


いつものように、くら~~~い表情で、「トイレばっかり行ってるの・・・。おしっこに行きたくならない薬はないんですか」「便秘もしてるの。ずーっと出てなくて苦しいの・・・。どうしたらいいんですか。お薬はないんですか、浣腸してください。」と訴える。


「寝かしてくださいよ。いつも寝たっきりなんですから」と繰り返すものの、今日はなんとか13時まで半座位を保っていただいた。13時には横になれるようベッドにお連れしたが、横になってから30分以上、手をとって優しく撫でながら、絹子さんと二人で会話した。

少し話がはじまってもすぐにおしっこの訴えになってしまうが、それでも根気よく、色々な話をもちかける。


すると、少しずつおしっこの訴えが減ってきた。

話題がそれに戻ることなく、次から次へと、絹子さんの口から自分の身の上話が出てくる。


「元気だったころはお花見にも行ったの」

「畑をやっていて、おじいさん(ご主人)はお勤めしながら畑を手伝ってくれた。一緒に市場に持って行って、売った」

「他の人みたくさっさと歩けないのがつらい。家の中ももっと歩きたい」


ひとつひとつ、うなずいたり、「へえ~ そうなのー。」と相槌をうちながら、もっと話が出るように促す。

「畑では何を作っていたの?」

「えーと、、、ホウレンソウとかネギ」

「へえー!難しくないんですか?」

「ネギは時間がかかるから難しいの」

「優しい旦那さんだった?」

「うん」

「じゃあ怒られたことない?」

「怒られたことない」

「じゃあ生まれ変わってもまたご主人と結婚したいですか?」

「そうね」


優しく、優しく、手をさすって、しっかり目を見て、顔を近づけて、

「あなたを見ているよ」「あなたの話を聞いているよ」

「あなたのこと大切だと思っているよ」

と、気持ちを送りながら、話を聞く。


そのうち、次々と話が出てくる。

それと同時に、くら~~かった顔に、生き生きとした表情が戻ってくる。

口だけでなく、身振り手振りも入ってきた。

振え、同じリズムを刻んでいた手の動きは止まっていた。

時々、にやっという笑顔も見られるようになってきた。(にこっではないかも・笑)


少し調子が出てきたな と判断し、15時には足の運動をするよう声かけしてみた。

すると、拒否することなく手すりにつかまってチャレンジ!

かかとあげ、足首まわし、スクワット・・・ 

いつも寝てばかり、トイレとベッドの往復、つらいつらいと訴えていた絹子さんが、

『すみれ』に来て初めて運動らしい運動をすることができた。

途中、「疲れちゃった・・・(ノД`)」と言ったものの、

「あと3回だからやっちゃおう!」と言うと頑張って最後までやり遂げることができた。


終わった後、施設長に声をかけられ、

「絹子さん体操したんですよー!がんばったんだよね!」

と言うと、嬉しそうににこっと笑った。


こんどは、にこっとо(ж>▽<)y ☆


こういう瞬間、介護の仕事ってなんてすばらしいのだろう、なんて素敵なんだろう、と思う。

心と心が通って、優しい気持ちが流れて、新しい道が開ける。


絹子さんが、これからまた少しずつ、元気になってくれるといいなと 思う。

もっと『すみれ』に慣れてきて、スタッフとの信頼関係ができて、起きていることが習慣になれば、

またそこから新しい楽しみを見つけることだってできる。

ここからが始まり。