Netflixで話題のドラマ『地面師たち』を観た。大変面白かった。日本のドラマでは最高峰のレベルだと思う。
が、残念ながらおそらくは長年語られるような名作にはならないのではいか、と思うのである。その点をちょっと語りたい。
このドラマのパワーにはすさまじいものがある。このパワーに比類する日本ドラマはすぐには思いつかないほどだ、が、それだけのような気がしてしまう。
というのも、このドラマを観ているとき、私はあまり興奮しなかったからだ。ハラハラドキドキしなかった。
既視感。全編にそれがとりついて離れなかった。すぺてとは言わないが、エピソードがおおむね「やっぱりね」という印象で終わる。事件の核心に近づいた途中で刑事が殺されるのには「お」と思ったが、驚いたのはそれぐらい。
ホストをはめるエピソード、中居として旅館に潜入するエピソード。なんか、こういう話飽きるほど見たような気がする。極め付きは勧誘された借金をもつ掃除婦、まさか難病の子供はいないよね、と思っていたら、そのまさかが的中。思わず苦笑い。
さらに毎回のような替え玉のあたふたぶり。ラスト近くのギリギリのすれちがいの連続。
まあ、ドラマなんだから、フィクションなんだから、ということはわかる。盛り上げて何が悪いと。
ただ、その辺がものすごく古臭く感じてしまったのは確か。この時代にそぐわない。ストーリーが粗く感じてしまったのだ。
たぶん、昭和的なドラマが好きな人にはたまらないのだろうと思う。多少強引でも面白く演出してくれればそれでいい、という人。日本の警察官が拳銃を撃ちまくっても違和感を感じず楽しめる人とか。
それにしても、リリー・フランキーは演技うまいね。『凶悪』あたりから注目していたけど、それだけは認めます。マキタスポーツ、山本耕史。そしてダントツの北村一輝。それにしてもピエール瀧の関西弁、おかしくなかった?
このあたりが、カミサンに「めんどくさ」と言われる所以かも。