方言って実は意外と細かいニュアンスがあったりする。
そこらへんを三重県出身の自分が三重の方言について
ちょっとつっついてみようかな、と。
ただし、

「自分の周りではこう使われていた」

という一例であって、また三重県の各地方によって細
かい違いはあるかもしれない。

…というコンセプトで最初いこうと思ってたけどそん
な感じでもないかもしれない。


◎三重弁の細かいニュアンス

〇ちんちん

「クソデカ囃子」でちょっとトレンドになった。

ひわいな言葉では無い(笑)

 

これは以前にも説明したことがある。
しかし実際はめっちゃ状況が限られる言葉である。
実は

「水(湯)にしか使わない」

というルールがある。

基本は水を火にかけて沸騰したら「湯ちんちんやで~」
みたいに使う。
でも「味噌汁ちんちんやで~」という使い方はしない。
あくまでも「水限定の方言」である。

そして、その度合い、つまり温度としては、

「必要を越えた温度の時に使う」

のであった。
水をコンロで沸かすときは当然沸騰した時に使う。

ただ「風呂ちんちんやで~」みたいなときは、必要以上の
温度になった時に使う。42度でよければ42度以上。
でも度を越えた温度、例えば80度とかだと使わないイメージがある。

せいぜいがんばって60度くらいまで。

そして名古屋ではその上位として「ちんちこちん」という言葉
があるらしい。
でもこの言葉は三重県で使ってる人は見たことが無い。

もともと名古屋発祥なので「ちんちん」だけしか伝わってない
のかもしれない。



〇机をつる

ネットの三重弁辞典に

「二人で物を持ち上げて運ぶ。
おーい、つくえつってくれー
(おおい、机をいっしょに運んでくれ)」


とある。
ああ、確かに2人の時にも時々使うかも。
でも基本1人の時に使う言葉である。
さらに言えば、ほぼ

「教室で机を運ぶとき限定の言葉」

である。
多分、方言がなくなりつつある中で学校でだけ残った言葉。
しかも、主に

「掃除のために教室の後ろに下げた机を元に戻すときに使う言葉」

である。
掃除のために机を後ろに下げる時はあんまり使わないかもしれない。



〇かんぴんたん

ネットの三重弁辞典に

「干からびた状態・物。
ごはんさんかんぴんたんなっとるわ
(お供えのご飯が干からびてかちかちになってるわ)」


とある。
つまりご飯がカピカピになった時に使うことばらしい。

「らしい」というのは、そんな使い方今まで聞いたことがないからである。
この言葉はめっちゃ限定的で

「蛙のかんぴんたん」

という言葉でしか聞いたことも使ったこともない。
しかも、シチュエーションも完全に限定されている。
それは

「モズのはやにえにされた蛙がひからびた状態」

にしか使わない。

これは上記2つとともに、方言が消えて行って特定のシチュのみに残されて
いるという現象だろう。



◎関西と関東のはざまの言葉

三重県は、さすが東西のはざまっって感じの方言がある
それをいくつか挙げてみる。



〇しもた、やってしもた

ここらへん、関西と関東の間って感じ。
関東なら

「やってしまった」

関西なら

「やってもうた」「やってもた」

が主流だろう。
その間にある三重県は

「やってしもた」

である。
関西でも使うだろうけど、三重はこの言葉を使う頻度が高い。

「しもたで工藤」




〇やらかい

この言葉は一応?三重弁らしい。
関東、というか標準語だと

「やわらかい」

関西だと「やらかい」も使うけど、そこに

「やらこい」

が入ってくる感じ。
ちなみに三重県では「やらこい」はほぼ使わない。



〇おもしょい

これ、三重の方便らしい。
関東、標準語ならもちろん

「おもしろい」

関西なら

「おもろい」

となる。
三重県では「おもろい」ももちろん使うけど「おもしょい」も
時々使う。ただ、消えつつあるかも。



〇うざこい

これは三重弁、東海の言葉らしい。
標準語では

「うざったい」

関西では

「うざい」

となるのが基本だが「うざい」はもう全国に浸透してる。
この「うざこい」も消えつつある言葉である。



◎その他

〇みじゃける

これ三重弁だったのか。知らんかった。
意味は

「はじけて中身が出てしまう」

という意味。だから元々は「身はじける」だろう。
正直この言葉は

「グロい言葉」

である。
例えば虫がつぶれた時とかに使う。



〇とろい、とろくさい

これ三重も使う名古屋弁らしい。
標準語やとおもてた。
「とろとろすんな」とかは全国でつかわん?

けど関西では「おっそ」といっても「とっろ」とか言わんか。

ちなみに悪口である。
意味は「遅い+どんくさい」といったところ。



〇かいだるい

三重弁。古い言葉らしい。
「だるい」は普通に使われるけど「かいだるい」は三重周辺
以外はあんまり聞いたことないかも。

「だるい」「かったるい」は「面倒くさい」という意味も含むけど、
「かいだるい」は含まない。
どっちかといえば「しんどい」の方が意味が近い。



〇てれこ

これって元々関西の方言らしい。
業界のみで使われる用語かと思ってた。
関西では日常会話でもつかうんかな?

三重県では一切使ったことも聞いたこともない。

ただし、一応ビジネス用語ともされる。
愛知の印刷所では使ってた。



〇行こにー

語尾「に」と「さ」は典型的な三重弁。
しかし「さ」はどの「さ」が三重弁なのかいまいちわからない。

関西、標準語では

「いこうよ」

かな?
関西ではなんだろ。
ぴったりと該当する言葉がないかも。

「行かへん?」「行こか」もちょっと違うかも。

「行こ」

かな?
「に」シリーズなら

「ええに」

とか。
関東、標準語だと「いいんじゃない」
関西弁だと「ええやろ」



〇数人

これは方言とは関係ないけど「数人」って一般的に
何人ぐらいのことを指すのかなって。

昔は「8、9人」のことを指したらしい。
んで、時代が進むにつれてどんどん数が減るらしい。
それは

「家族の人数」

を基本とした言葉なんじゃないか、と。なるほど。
ちなみに自分が「数人」を使う場合は

「3人前後」

というイメージ。
それくらいの人数不定の時に使うんじゃないだろうか。
2~5人。6人はもう使わないイメージ。

ここらへん年代、場所によってどういうイメージを

持つ人が多いか一回アンケートとってみたいなぁ。



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以上。
方言に限らず、辞書ではニュアンスが載ってなかったりする。
そこらへんをちょっと書いてみた。