前回に引き続き、コンドームと性病について考えます。
今回のテーマはアナルセックスとHIV。
HIVとはヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)。
このウィルスの感染によって生じる、後天性免疫不全症候群をエイズ AIDS : acquired immunodeficiency syndromeとよびます。
まずはこちらの表をご覧ください。
厚生労働省エイズ動向委員会が平成27年5月27日に出した、 平成26(2014)年エイズ発生動向年報(1月1日~12月31日)の表3-1 HIV感染者及びAIDS患者の年次推移(国籍別、性別)(50KB)です。
小さすぎて見えないですね。
2014年のHIV感染者数は男性959人、女性35名。
AIDS発症者は男性409人、13人。
2007年以降大体これくらいの人数で推移しています。
圧倒的に男性が多いです。
そして、表5 HIV感染者及びAIDS患者の年次推移(国籍別、性別、感染経路別)を見ます。
やはり2014年を見てみます。
男性の場合のHIV感染経路は、異性間の性的接触126人 同性間の性的接触736人 静注薬物使用3人 母子感染1人 その他20人 不明73人。
女性の場合、異性間の性的接触32人 同性間の性的接触0人 静注薬物使用0人 母子感染0人 その他0人 不明3人。
男性同性間の性的接触による感染が圧倒的に多いです。(ここには両性間による性的接触も含まれています。)
なぜ圧倒的に男性に多いのか?
HIVはアナルセックスによる感染率が高いんです。
これは以前参加した国立感染症研究所の先生による性感染症の勉強会で知ったのですが。
ウィルスにはそれぞれ好きな環境というか増殖しやすい場所があるんです。
インフルエンザウィルスは咽頭・呼吸器、ノロウィルスが内蔵(胃腸)といったようにです。
HIVは粘膜のうち特に腸の粘膜や、男性のペニスの包皮の内側などが増殖しやすいんだそうです。
男性同性間の性的接触に多いアナルセックスは腸の粘膜に、そして、男性のペニスの包皮の内側なので男性に増殖しやすいと考えられます。
HIV感染を防ぐために有効なのは、やはりコンドームの使用と男性の割礼。
妊娠の可能性がないアナルセックスにはコンドームを使わないことが多いです。
まずは、粘膜へのウィルスの伝播を防ぐコンドームの使用は必須だと思われます。
そしてもう一つは、ペニスの包皮を取り除く割礼も感染防御になるようです。
南アフリカの調査研究では、男性の割礼によるHIVの感染防御率は60%だったそうです。
出典 : http://www.avert.org/learn-share/hiv-fact-sheets/circumcision
コンドームは避妊具として認知されていますが、性病の予防具としての必要性が高いんです。
正しく知って正しく防ぐことは大事ですよね。
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