農業ヤングメン | いよひめのつぶやき

いよひめのつぶやき

シングルマザーが母業を引退して海辺の街にフラリとやってきた。ラムネ色の海とトンガリ帽子型の山に囲まれた暮らしの話。

5月の北条の海はエメラルドのように冴えて、

山里に吹く風はむせるような若葉と花の匂い。

この季節は自然のパワーのようなものを

とりわけ強く感じます。

 

朝の鹿島。

風が穏やかな日は波も湖のように静か。

 

山のふもとの農村。

聞こえるのは農作業の音と、鳥とカエルの鳴き声。

 

どこを歩いても、すぐそばにある畑。

みかんやレモン、キャベツや玉ねぎ。

季節の野菜や果物を山盛り食べる暮らしを

するうちに、いつの間にか

「自然と農業を守る活動がしたい」

と強く思うようになりました。

それは企業で働いていた1年前は

夢にも思わなかったこと。

 

家の周りの畑の作物は季節で変わる。

今一番多いのは麦畑。

 

強い思いというのは、

磁石となって同じ種類の人を引き寄せるらしく、

農家の方を次々に紹介してもらったり

向こうから会いに来てくれたりして、

自然に彼らと交流するようになっていました。

 

今日も30代の農家の人達と話す機会がありました。

今風の若者な感じの彼らは

農業をしているようにはとても見えないのですが、

会話の内容も

「虫を見つけてもいまだに潰せないんですよね」

とか、「みかんの木に鳥の巣を見つけてしまって、

そこだけは収穫せずにそっとしておきました。」

などと心優しい彼らは

「そんな甘い事じゃダメなんですけど」と

苦笑していました。

 

道ばたに咲いていたレモンの花。

甘い香りは虫も引き寄せるのか。

 

農薬を使わない自然農法に取組む情熱と、

反対に安定した収穫を得るための農薬の必要性など、

悩ましい問題を真っ直ぐな目で

語り合っているのをかたわらで見ていると、

とても頼もしく、心強く感じました。

 

彼らの仲間の輪がどんどん大きくなるといいな、

そう思った私は思わず

「愛媛の農業メンズカレンダー作りたいねー」

と漏らしていました。

あ、しまった、セクハラかな、と思いましたが、

「それ是非作ってください!」なんて言われると

頭の中にはすでに畑で汗を拭う農業メンズの

写真の構図が浮かんでいました。

 

彼らが中心となる未来はどんなものだろう。

野菜は工場でも作れる時代になりました。

でも、この美しい海と山と畑の風景に包まれて、

そこで採れたものを食べて暮らす幸せは

ずっと変わらないで欲しいと思います。

 

その為に私にもできることが

少しでもあればいいな。

 

夕陽に照らされるみかんの花。

みかん畑があってこその風景。