10月20(金)テレビ東京13:40~15:40放送、午後のロードショーの、映画『アンストッパブル』をやっと観終わりました。残りの録画容量が、いつも3、4時間で推移していて、観終わってはすぐにドラマや映画、ドキュメンタリーを録画するという自転車操業中? です。

 映画好きの人に言わせると、この枠はCMが多く、かなりカットされているそうですが、それでもストーリーが繋がっているので、よほどうまく編集しているのでしょう。

 この作品を観るのは二度目です。確か、5年から10年前に観た記憶があります。そのときも面白かったが、今回も一度観たにもかかわらず、面白かったです。

 しかし、人間の記憶というのはあやふやなもので、前に観たときは、主役はモーガン・フリーマンだと思っていました。今回はデンゼル・ワシントンだったので、ひょっとしてリメイク作品かと思っていましたが、ネット検索すると、これ一本しか作られていないので、以前観た作品に間違いないようです。

 

 

 

 いつものことながら、欧米の作品は主人公を取り巻く環境、家族構成、彼らが抱えている悩みが、まず坦々と描かれていて、それからメインの出来事に向かって話が転がり始め、彼らがそれにどう対処していったかがよく描かれているので、観る者を惹きつけてやみません。

 主人公のベテラン機関士フランク(ワシントン)は、妻を病気で失い?(そういうセリフはなし)、18歳と19歳の二人の年頃の娘は、ホットパンツを履いて接客するレストランでバイトをしています。電話をすれば、話を最後まで聞かずに途中で切るし、父親を小馬鹿にして相手にしてくれません。しかし、この設定が、物語の進行とともにうまく生かされて、ラストの感動に繋がっていきます。それは、彼と初めてコンビを組んだ新米車掌ウィル(クリス・パイン)も同様で、彼は妻子と別居中で、その悩みを抱えて仕事がおろそかになっています。この設定も、ラストの感動を呼び込みます。

 この年齢も考えも違う二人が、同じ貨物機関車に乗って貨物列車を運び始めたその頃、別の操車場から、大量の可燃物を積んだ貨物列車が、運転士のミスで、無人で暴走を始めます。その貨物列車を、脱線寸前に彼ら二人が阻止するという、2001年にアメリカのオハイオ州で実際に起きた列車事故を基にした、緊迫のアクション映画です。

 この事実に群がるマスコミ連中も過不足なく描かれ、リアリティ、物語の進行を盛り上げています。そして、この映画のキーパーソンである、操車場の女性管理担当官コニー・フーパー役のロザリオ・ドーソン(現在44歳・当時31歳)が、アカデミー助演女優賞級のうまさです。うまいはずです。ネット検索すると、世界で最も成功した演劇学校、ニューヨーク・アクターズスタジオの教師であった、リー・ストラスバーグ演劇学校出身です。いわゆる、スタニスラフスキー・システムという俳優教育法です。

 

 ラスト、無事に暴走列車を止めて、線路脇で行われたマスコミインタビューの場に、フランクの娘たちや、ウィルの妻子、コニーも駆けつけ、彼らの勇気ある行動を称えます。

 この映画が何故、これほどまでに感動を呼んだかというと、いわゆるブルーカラーで、給料も安く、社会的地位も低く、普段はスポットライトが当たらない貨物列車の機関士、車掌が、大事故を防ぎ、一躍“時の人”になって、全米に注目されるというところでしょう。

 この大事故を防いだ後、フランクは出世し、円満退社。ウィルは第2子が誕生予定、コニーは列車運行部長に昇進。これまた、アメリカらしい粋な計らいです。

 監督は、トニー・スコット。『ブラック・レイン』『エイリアン』『グラディエーター』(第73回アメリカアカデミー賞作品賞受賞)の監督、リドリー・スコットの息子さんかと思っていたら、弟さんでした。この作品が遺作(2012死去、68歳)で、トム・クルーズ主演、『トップガン』の監督です。お見事と言うしかありません。