前作がきれいに終わったと思っていたので、続編があると知って少し驚いたけど、図書館にあったので喜んで借りてきたよ。



前作では、世間的に死んだことになっていたシャーロック・ホームズが密かに日本に渡航し、伊藤博文と一緒に謎を解決した。

今回は、伊藤博文が暗殺されたという知らせが、サセックスで隠遁生活していたホームズの元に届くのである。

タイムラグがあるとはいえ、急な知らせに驚くホームズ。


暗殺から半年後、各国の要人を招いて開かれる「惜別の会」への招待状がホームズとワトソンに届き、2人は日本へ行くことにするのだが。

同時に、妙な木彫りの仏像が届けられ、「伊藤博文を殺したのは安重根(犯人の名前)ではない」と仄めかされたことから、もう解決済みの筈の伊藤暗殺について、不穏な雰囲気が漂いはじめる。


ホームズが日本に着いたら着いたで、その時のトップである山縣有朋や桂総理から、思いもよらない冷たい待遇を受けたばかりか、彼らはホームズ達を「呼んでいない」と吐き捨てた。




…さすがに「ワシらは呼んでない」と言われた時には私もびっくりだよ!

そう言われても招待状は持っているし、混乱した状況を目の当たりにしたホームズがじっとしているわけはなく。
探偵魂を発揮して情報を集め始めると、各国の思惑が見えてきて、その中で日本がどうしていくのかということにまで話が大きくなっていくのが、ただの探偵ミステリーにとどまらず、緊張感があって面白い物語だった。

招待されてない⁈と混乱してからの流れを言ってしまうとネタバレに繋がるので、言えないのが辛いんだけど、そこからさらにびっくりさせられる出来事が待ち受けているのでお楽しみに!
私が読んだ時は思わず「はぁ⁈」と叫んでしまった…


頭脳に自信がなくなったとして隠遁していたホームズだが、56歳だよ!現代ではまだまだ働かされてるくらいだから、全然引退年齢ではないと思う。

当時は50代といえばもうおじいさんだったということか?そう思うと、違和感があると言うよりも愕然とする感じなのだが、ホームズはこの事件で再び、現役に戻ったような生き生きした感覚を取り戻したのである。私はそこが良かったな。

人々の中で、スパイの007がいつまでも歳を取らないように、ホームズだって、歳をとってもナイフのような切れ味の推理力は衰えない、と思っていたいのである。