私のお楽しみ「隠蔽捜査」シリーズ。

今回は、神奈川県警・刑事部長の竜崎が、有名作家・北上の誘拐事件で、ミステリー作家・梅林の協力を得て捜査を進めるというストーリー。




竜崎は刑事部長なので、現場のことは知らないこともあるのが本当のところなんだろう。

捜査本部がある警察署の副署長や課長の考えを聞いたり、梅林という外部協力者の意見を聞いたりして捜査方針を決めていくのが、今まではあまり見られなかったやり方という感じがした。


他人が迷うどんな場面でも常識にとらわれず、信条に則って決めるというのが、竜崎の痛快なとこだったなあ。

と思いつつ、実際に現場からの叩き上げでなければ、あまり詳しくない部署の仕事をすることもあるものだともわかる。なので、周りに聞きながら判断しているのが、なんだか竜崎の新境地だなといった感覚で読んだ。

尖った感じが少なくなった、というか丸くなったというんだろうか、そんな気がするが、そこが竜崎の成長なんだと思う。

ストーリーは面白かったです。


外部の協力者である作家の梅林は、安楽椅子探偵みたいな役割なのかな?と最初は思ったけど、そうでもなかった。


関係者の心理を理解することが、捜査の成功する可能性を上げるということなのかな。

相手の様子を見ながら小出しに情報を教えて、それで梅林の考えを聞く。なんか、危険な橋を渡っている気がして心配になる。

でも実際、捜査ではこういうこともするものだろうか?どうかな〜?


まあしかし、ストーリー上、長男に影響を与えるために置かれたキャラクターだろうとわかるのでね…


長男くん、竜崎の、というか一般的に親が考える将来像から、いつだって外れようとしてきますね…。

少し落ち着いたのかと思っていたが、まだいろいろ迷い中なので、なかなか徹底的だなぁと苦笑した。

竜崎が息子をけなしたり、ダメなやつだと思わないで、深いところで信頼しているのがわかる。

動じなくていいお父さんだな。こういう家庭人の顔がエリートの竜崎に味わいを与えてくれるのだ。


今回、有名作家の登場で、竜崎の上司など周りの人がワクワクしながら騒いでいるので、警察の偉い人も中身は普通の人という感じで面白い。
でも忖度を求められているのかと感じることもあって、ちょっとだけウザかった(笑)