今年の一文字 | ピナクルCEO安田育生の「ホライゾンを広げよう」powered by アメブロ

今年の一文字

毎年年初に経済講演を依頼される。

今年も1月、日本政策投資銀行や、日本貿易会などで

「今年の経済を占う」的なテーマで講演した。


私が年初の講演で、毎年恒例にしているのは

「今年を表現する一文字」を発表することだ。


よく清水寺の管主が年末に過ぎ去ったその一年を表現する一文字を

年末に発表するのを皆さんもご存知だろう。

おととしの暮れは「偽」であった。偽装表示が話題になった年だったからだ。

昨年は「変」であった。オバマ大統領のスローガン「Change」から選ばれた文字だ。


私は昨年一月の講演で選択した言葉は「縮」であった。

まだサブプライム問題がそれほど騒がれていなかったときであったが、

これは大きな経済の縮小を招く原因になりかねないと思って「縮」を選んだ。


まず

金融が収縮する。

経営が萎縮する。

実物経済が収縮する

と考え、「縮」に陥ってしまう懸念を講演で伝えた。


講演当時は大げさに聞こえたみたいだったが、

現実はもっと厳しかった。

私の予想をはるかに上回る、経済破綻が待っていた。


今年の私の一文字として、

実は最初に浮かんだのは「壊」であった。

経済が壊れると思ったからである。


しかし「壊」ではいかにも元気がなくなるので、講演用に考えたのは、

「機」だった。


「機」は危機の「機」である。

クライシスを意味する。


しかし同時に「機」は機会の「機」でもある。


エクセレントカンパニーGE(ジェネラルエレクトリック)の社訓の一つに


See chages as opportunity, not threat!


というのがある。


危機のときこそチャンスがあるという意味である。

八方塞がりの現在に好機を見つけるのは困難である。


しかし、いまこそ「差」がものを言う時である。

守りだけではなく、攻めにも転じて、

「機」を危機ではなく機会に変えたいものだ。