変貌するM&Aの形 | ピナクルCEO安田育生の「ホライゾンを広げよう」powered by アメブロ

変貌するM&Aの形

M&Aには「買う側」「買われる側」が存在する。


通常のM&Aでは「買う側」「買われる側」を支配する。

しかし

昨今のM&Aでは「買われる側」「買う側」の主要ポストを支配するケースが出てきた


日本板硝子によるピルキントン買収

野村證券によるリーマンブラザース(欧州、アジア部門)買収

がそうである。


日本板硝子のCEOに「買われた側」のピルキントンCEOが就任した。

野村のアジアや欧州もリーマン社員が幹部を占めている。

言い換えれば、買った会社の社員」「買われた会社の社員」の部下になっているわけである。


どうしてこのようなことが起きてきたのか。

そこには必然性が存在する。


欧米が日本に比べて経済が疲弊している。円高でもある。

日本企業にとっては優良企業を買収する千載一遇のチャンスである。


「買われた側」のノウハウや人材やグローバルプレゼンスを買いにいくM&Aでは

自ずと「買われた側」のインセンティブを大切にしなければならない。


かつてスイスのUBS銀行SBC銀行を買収した例でも似たようなことが起こった。

「買った側」のUBSはスイス第一位であり格付けもAAA。

「買われた側」のSBCは3位でシングルA。

何をとってもUBSの方が勝っていた。

しかし合併後のふたを開けて見ると、

CEOを始め、4大部門のトップのうち3つを「買われた側」のSBC幹部がポジションを占めた。

SBCには「このままでは危ない」という危機感があった。

そのためSBCは新しい金融商品などでエッジを磨いていた。

その結果、「買われた」SBCのほうがノウハウが優れていたのである。


良い会社だから買いたい、、。

というならこうした現象は当然の帰結かもしれなかった。


遅まきながらも日本の会社もそれに気がつき始めたのだろう。

「会社は人材である。」以上、

こうした現象は増えていくだろう。