9月ともなれば普通は野球観察も終了して、

そろそろ文化的かつ静かに過ごしたいころだ。

 

が、(贅沢な悩みながら)2年ほど前から

9月はざわざわしてそうもいかなくなった。暑いし。

 

今年は特に阪神までがアレってことで

関西は余計に騒がしい。

 

ちょっと落ち着きましょうや、ということで、

待望の「アステロイド・シティ」を観てきた。

 

 

こふいふ映画を観たいのだ、私は。

 

これぞ映画でしょう。ドンパチなし、カーチェイスなし、

セックスなし、浅い感動なし、説教なし。

 

唯一無二の色彩感覚とテンポと画面の作り込み。

隠喩だらけでどこか妙で可笑しいセリフだらけの

独特のユーモア感覚。品のいい風刺。あくまで静かな語り口。

 

全シーンをポスターにして飾りたい。

 

至福の2時間で・・とても静かな気持ちを取り戻して、

満足できた。素晴らしい。

現存の監督で一番好きなのが、ウェス・アンダーソン。

もちろん過去作全部観てるし、こんなポスターも持っている。

 

 

前作フレンチ・ディスパッチはかなりマニアックだったが

(でも私はオーエン・ウィルソンのオレンジの自転車が

 わすれられない)

今回のは全ての完成度が高く、観やすくて、お勧めである。

 

彼の過去作は全て素晴らしいのだが、一貫して登場人物全員が

「自分のためだけに生きている」

「かといって優しくないわけではない」

そこが一番の魅力。

 

善悪とかのしょうもない二元論とは無縁。

全てが調和・共存。宇宙人ですら。そこがいい。

 

いちおうバンドのリーダーをしている私としては、

ライフ・アクアティックの船長(ビル・マーレー)が

ずっとお手本だと白状しよう。

 

 

めっちゃ自分勝手で欠点だらけなのに人望あるリーダー。

まあこれを演じれるのはビル・マーレーしかいないが、

このシーンいいんだよなー。
 

ウェス・アンダーソンは(もちろん)一般に人気はないようで

いつもすぐ上映が終わってしまう。

今回作も公開二週間ですでに朝、晩の2回上映のみ。

 

やはり大画面で見た方が良いので、映画館にお急ぎを!