若干28歳の天才音楽家

ジェイコブ・コリアーの初めての大阪公演を観に行った。

 

 

開いた口がふさがらなかった。

 

ジェイコブは極めて高レベルのマルチ・ミュージシャンであり、

超絶斬新な音楽を作り上げる天才として名高く(グラミーにもノミネート)、

いろんな音源きいてYouTubeも見て前知識はあったのだが、

真近で見てしまうともう・・口があんぐりである。

 

たぶんこの人、どこかの天国に近い異次元と繋がってる。

 

間断なくほぼ全ての楽器を駆使しつつノンストップで

繰り広げられた2時間のショーは、ほぼ神の御技。

私は間違いなく彼が「現代のアマデウス」だと断言したい。

常人の所業ではない。

 

ライブで再現していること自体が奇跡だというような

超絶高度な音楽でありながらちゃんとポップでリリカルで

新しいグルーブで、コンテンポラリー。

 

一部で「ジャズ」と片付けられてるのは、大間違いである。

 

めちゃ早口(天才にありがち)でMCをしてさっと楽器を

弾き始めたその瞬間の音がめちゃ「深くて」魔法のようだ。

凡人なら思い入れたっぷりに間を取って出す音より、深いのだ。

 

サポートミュージシャンたち、特に黒人女性ボーカリストが

信じられないほど素晴らしくて、夢見心地。

ショーの構成も完璧で、起伏も抑揚もあり、あっという間。

ステージを走り回る彼の温かくて愉快な人間性も満喫できる。

(会場のビッグキャットは私も出演したことあるので知っているが

 ステージは狭く多くの機材の間を走り回れる運動神経も超絶である)

 

アンコールで恒例の会場全員のハーモニーを体験したが、

動画では知ってたけどその場にいると、

たくさんの人間の声が作り出す空気に感動してしまう。

それを嬉々として巧みに指揮している彼の姿はやはり・・

アマデウス・モーツァルト(じゃなければ神)と思うほかないのである。

 

こんなショー、今まで見たことない。比較するものがない。

何が違うんだろう?と後で考えたときに気がついた。

 

全く主役の「エゴ」が感じられないのだ。清々しいほどに。

ものすごいのに、爽やかなのだ。

 

多くのコンサートはスケールの差こそあれ

聞いてくれ聞いてくれ聞いてくれという主役の「エゴの塊」なのに・・

(まあそれが凡人の魅力でもあるわけだが)

 

そこが天才たる所以、かな。

 

そして。

本当に「憎い」のは、ショーが終わった直後の演出。

客電が点いた瞬間、アースウィンド&ファイヤーの

「セプテンバー」が流れたのだ。

 

お客さんは楽しい気分のまま、踊りながら家路につくというわけ。

 

若いお客さんにはわかるはずもないが

これは全盛時のアースウィンド&ファイヤーのライブのエンディングと

同じなのである(ライブビデオを見るべし)。

 

若いジェイコブ・コリアーが当時を知るわけはないから、

ビデオで知ってて、リスペクトを込めて真似したんだろうな。

 

いや全く、ジェイコブ・コリアーには呆れ果ててしまう。