たとえ暖簾をくぐることはなくても、あの路地に店があることで安心していたのだ、と気付く。
飲食店とは、文字通り、飲んだり食べたりする場所だと思っていた。でも、違った。居場所なのだ。あそこにまだあの店がある、と思うだけで、なんとなく待っていてもらえるような気持ちになれるもの。
 
 
       島本理生 『2020何の恋人たち』 より
 
 
 
 
あの店の常連、と言えるような店はほとんどない。
1年に5.6回も行けば多いほうかな、そんなお店がいくつかはある。あ、一番近いお蕎麦屋さんと中華のお店なら月に一度は行くからもっと多いか。といっても顔なんて覚えてもらってるかもわからない。
 
 
でも、1年に何度か行くということは、好きなお店だと思う。味ももちろん美味しいけど、それだけじゃない。雰囲気というか、佇まいというか、落ち着くんだと思う。コスパというと味気ないけど、そういうのも納得の範囲なんだと思う。
 
 
無くなったら悲しい。
幸い今のところ、コロナ禍で閉店したというのはその中にないけれど、影響は少なからずあったと思う。
存続してほしいから、お店も自分たちも対策をして短い滞在でも楽しんでくる。
あそこに行けばあの店がある。それは大切な心の拠り所だ。
 
 
 
 
それにしてもこの小説、主人公の女性のモテがハンパない。
出会う男性が軒並み彼女を好きになる。
まぁ見事なほどにあの人もこの人も。
女性の容姿についてはあまり描かれていないが、魅力的なひとなんだろう。
結局誰とくっつくのー?ってちょっと安い連ドラみたいな感じにも思えてきて、いつもの島本理生の小説の境地へは行けなかった。ざんねん。
 
 
 
 
 
 
 

 
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