・・・・・
父は野良犬に咬まれて
「治療してください」と
動物病院に駆け込んだり、
・・・・・
こだま『いまだ、おしまいの地』より
私としたことが
一回目は素通りしてしまった。
次の文章に進んでから
ん?
今の、何か間違ってたような?
戻ってもう一度読んでみた。
『犬に咬まれて動物病院に駆け込む』
って、誰が?
お父さんが!!!
人間が!!!
面白過ぎる。
二度見どころか五度見くらいした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こだまさんの処女作は
『夫のちんぽが入らない』という私小説だった。
その後、エッセイ『ここは、おしまいの地』があり
この『いまだ、おしまいの地』に続いている。
気になる書き手なので全部読んできたけれど
その内容ゆえか、それだけではないのか、
文筆について家族にも
周囲にも告げていないらしい。
誰にも言わず書くことが
自分を生かすことでもあり
苦しめることにもなっているだろう。
心配だ。
読者としても、おなじ弱さを持つ者としても。
でも、こだまさんがこの、
動物病院に駆け込んだお父さんの血を
少しでも受け継いでいるとしたら
大丈夫なんじゃないかと
ちょっとだけ、気持ちが明るくなった。