・・・ケイヴが道を踏み外すには、最初の殺人の前に、必ず外的な要因が作用していたはずだ。その要因を見つけ出せば、そして排除することができれば、ケイヴは殺人者にならない。性的サディストにもならない。兄たちと同じように、人好きのする立派な男となる。・・・

          宮部みゆき「さよならの儀式」から 『保安官の明日』より

 

宮部みゆきは杉村三郎シリーズなど好きなものがたくさんあるが、今回はどちらかというと苦手なSF、しかも短編集で、読み進めるのが難しかった。

読後も正直、心地いいとは言えなかった。
でも、宮部みゆきがこの短編集のひとつひとつに投げ掛けているものは、物事を深く考える方ではない自分でも、心の中のどこかには少しはあり、気になっていたり、大事だと感じることだったりする。
なのでがんばって読んでよかったとは思う。
 
 
宮部みゆきとも、小説とも関係ないが
自分が人を殺そうとしている夢をみたことがある。
相手は実在しており、かつて関わっていた人。年長。女性。
好きではない。嫌い、と言っていい。
「憎しみ」「恨み」の感情まではどうか、わからないが現実ではもちろん殺意などない。
今後自分と関わらないのであればどこで何をしていてくれてもかまわない、くらいの人。
 
夢の中ではその相手に大声で何か叫びながら近づき、手には刃物を持っている。
目の前まで来るが突き刺すことができない。
頭から湯気がでるほど興奮しているが「殺したとして死体はどうする」と頭では考えていた。
つかまりたくはないのか、人知れずなら殺したいのか、
考えているところで目が覚めた。
しばらく動けなかった。
 
たとえ夢の中であったとしても、自分が人に殺意を持ったことがショックだった。
自分はそんなことを一生することはないと、一切の迷いなく言えるけれど
あの興奮と冷静さの記憶だけはしばらく消えなかった。
 
 
 
 

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