・・・「何か特別のことができるわけじゃない人間が、日々の発信の積み重ねで知名度とと影響力を得ていく。ある人にとっては無名の人間がある人にとっては唯一無二のスターになる。そういうことが普通の時代になりました。能力を持つ者がスターとして君臨することだけじゃなく、持たざる者が持ちゆく過程を世に公開し支持を集めることができる。お金を生むこともできる。そんな時代になりました。誰にとってもスターなわけじゃないけど、誰かにとっても小さな星がファンクラブ的な閉鎖空間を設ければ、その中で光り続けられるようになりました」・・・

 

              朝井リョウ「スター」より

 

 

朝井リョウくん(この文脈では「くん」になってしまう。敬称ってなかなかルール付けできない)は娘と生年月日が一日違いだ。

そんなことを知っていて、それがちょっとうれしいくらいに、自分にとって朝井リョウくんは「スター」だ。

朝井リョウくんは若くして直木賞も受賞している人気作家ではあるけれど、道行く人に「朝井リョウって知ってますか」と聞いてもそれほど芳しい答えは返ってこないかもしれない。

実際、一日違いで生まれている娘も知らなかった。

そしてこんなうふうに自分のことを書かれているのを朝井リョウくん本人にそのうち見つけられてしまうかもしれない。そういうのを見つける人だということも知ってるくらい、小説やエッセイを読む以外に、朝井リョウくんのラジオ(だいたいはアーカイブをYouTubeで)を聞いていたりもするのだ。

 

 

朝井リョウくんとユーチューバーとは別次元の話だけれど

その兆しを感じたのは、たとえば紅白歌合戦だったりする。

 

紅白歌合戦に出ている歌手の中に知らない人が入るようになって久しい。

子どものころの紅白歌合戦は全部の歌手を知っていて全部の歌を歌えた。

今は歌える歌は数曲しかない。

 

 

いい悪いではない。

共有できない寂しさと、自分の「好き」を自由の海から選んでいける楽しさ。

どちらも感じながら過ごしていくのだろう。

 

 

 

 

 

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