「たとえ会えなくても、自分にとって大切な人間と

見えない糸で繋がっていると思えたら、

それだけで幸せだって。

その糸がどんなに長くても希望が持てるって。

だから死ぬまで、その糸は離さない」

    

           東野圭吾「希望の糸」より

 

 

加賀恭一郎シリーズでした。

今回は従兄弟の松宮脩平が主に動いています。

読んでいるとどうしても阿部寛と溝端淳平の姿が出てきてしまうけれど

他の登場人物も映像の中で想像してしまう。

きっとこれもドラマや映画になるのでしょうね。

 

ミステリーと推理小説の違いもよくわからないくらい

犯人探しや謎解きの小説はあまり読まないけれど

東野圭吾と宮部みゆきは時々読んでしまう。

面白いのは間違いないし、

なぜ?どうして?を解決したくて

一気に読んでしまう。

家事や睡眠に支障が出るほどで、

だから読まないというのもある。

 

なぜ?が解けても

あまり腑に落ちない時もある。

ミステリーってずるいと思うことも。

誰だって「犯人」と「理由」は知りたいものだ。

 

 

今回の作品も

最後の方まで明かされないそれぞれの人間関係、

血縁や恋愛の事情、

そういうことなのか、ではしかたがない、

ありえることだろう、

と納得はするのだけれど

なんだろう、

ちょっとすっきりしない部分もあった。

 

女性同士の恋愛、

家のためとはいえそれぞれが結婚していること、

知った夫が恋人を巻き込んで死のうとすること、

ありえるかもしれないが、

あまりに色んな事情と感情が重なり過ぎていて

現実感が薄れてしまった。

 

それでもやはりとても面白い小説だったのはたしか。

そしてなにより「糸」

最近よく感じるのだが

自分にとって大切な人はもちろん近くにいるが

離れていてあまり会えない人もいる。

友人の中でも本当に大切な人とは

ほとんど会えていない。

会ってはいないが「糸」を感じている。

そして、それを思うたびに

自分の中に何か、

しずかで、あたたかい、光のようなものが

見える気がする。

 

父のことも

元気だった時も、だんだん弱っていった時も

亡くなった今も、

どんなにその糸が長くなっても

繋がっていることを感じるし

光がちゃんと見える。

 

 

 

 

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