・・・きっと意味なんかわからなかったと思う。

でも、理解した気になって懸命にあれこれ考えた。

わからなくともとにかく、がりごり読んだ。

そういえばあのころは授業とは言え漢文も古典も読めたんだなぁ・・・

 

        角田光代「物語の海を泳いで」より

 

 

 

『もりもり』でも 

 

 『がつがつ』でもなくて

 

がりごり

 

 

 

相手は氷かな。岩おこしかな

 

ごつごつしてすごく堅そう

 

噛み砕こうと奥歯の右から左へ

 

だめだ、左から右へ

 

顔がななめに歪んでも


がりごり がりごり

 

 

 

20代の頃、大食いの友だちが

噛まずに飲み込んでるのではと思う勢いで

目の前のお皿をきれいにさらえていくので

 

 

「そんな食べかた消化に悪いで」(大阪出身)とありふれた常識を振りかざして友に投げかけると

 

「大丈夫。わたし胃に歯があるねん」

 

 

彼女のオリジナルなのか誰かの受け売りかはわからないけど

説得力は絶大で

 

 

「がりごり」でその言葉を思い出した

 

 

 

 

本の中のやわらかで食べやすいところだけ

 

すました顔して食べようとしている大人の自分

 

うらやましいけど

 

『がりごり』はピンクの歯茎の特権

 

 

 

それでも、受身100%の読みかたの今

攻めの姿勢を少しだけでも思い出させてもらえた

 

 

 

 

 

それにしてもこの本に出てくる中のほんの数点しか読んだことがなくて

 

世にあるおびただしい本の中のわずかな一部分しか味わえないのがくやしい

 

 

 

そしてやはり、さすが、角田光代だな、がりごり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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