抑止力とは、簡単に言うと、行為を思いとどまらせる力。行為の達成が困難、または代償が高くつくことで、やめさせる力です。安全保障分野だけでなく、さまざまな意味で使用されることがあります。


今日は、学生時代に研究したことを思い起こしながら、書いてみました。


よく聞く「核抑止(Nuclear Deterrence)」は、核戦略のひとつです。お互い核兵器を持っているから、攻撃されるのを防ぐために、戦争になるのを防ぐために、双方が持つ。しかし、これでは世界各国で核開発が進んでしまうので、核拡散を防止するためにNPTTreaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)が1970年発効となり、米露英仏中の5か国に核保有を認める代わりに、核軍縮交渉に誠実に取り組むことを義務づけています。今年も再検討会議が開催されましたが、決裂に終わっています。

NPT5か国だけに認められている不平等条約であり、NPT未加盟国など、5か国以外でも核兵器開発が進んでいると見られます。


抑止は、基本的には、相手に対する「脅威」が基本となって成立します。従って、脅威となるものでなくてはならない。少しの軍事力では脅威とならず、抑止力が働かない。より大きな軍事力を求め、軍拡につながっていきます。

つまり、抑止力を本当に働かせるためには、より強くなければならないのです。

日本が進めようとしている集団的自衛権は本当に抑止力になるのでしょうか。


別の考え方ができます。戦後70年戦争に巻き込まれなかった日本には、抑止力がありました。国際関係は70年の間に複雑に絡み合い、経済や文化などさまざまな交流がなくてはならないものとなりました。互いの利益が絡み合った経済大国同士は、簡単に戦争をしかけることができません。

私たちは、もっとこのことに誇りを持つべきではないでしょうか。日本が歩んできた経済成長の道は、経済だけでなく、戦略としても有効であったはずです。