皆様、お疲れ様でございます。
 
今回は、先日Xで見つけたpostに載っていた興味深い研究と、私なりの見解を述べたいと思います。
 
 
子どもに
「嘘はいけません!」
と教える事は、多くの親御さんにとって当たり前の事と存じます。
 
では逆に
「嘘をついていいよ」
と言ったら、どうなるのでしょうか?
 
そんなとても興味深い、一風変わった研究がありました。
 
 
 
▼シンガポールの研究が明らかにしたこと
 
シンガポール国立大学(NUS)の心理学者Ding Xiaopan准教授らの研究チームは、3〜7歳の子ども約280人を対象に実験を行いました。
 
内容は、シンプルなゲームです。
 
子どもがシールをカップの下に隠し、研究者に「どちらにシールがある?」と聞かれます。
子どもが嘘をついてわざと違う方を指させば、シールを守れる仕組みです。
 
つまり、嘘をついた方が確実に得をする状況です。
 
結果
このゲームで「嘘をついてもいいよ」と許可されたグループは、許可されなかったグループと比べて、正直に答える傾向が見られました。
 
「嘘を許可されたのに、正直になった」という、直感に反する結果です。
 
なぜそうなるのか?——研究チームも首をかしげている…
 
 
 
面白いのは、研究チーム自身もその理由を断定できていない点です。考えられる解釈として、以下の3つが挙げられています。
 
①「嘘はよくない」という意識がかえって高まった
「嘘をついていいよ」と言われたことで、逆に「嘘って悪い事なんだ」という意識が強まった可能性。
 
②「これは正直さのテストだ」と察した
子どもが大人の意図を読み取り、「正直に振る舞うべき場面だ」と判断した可能性。
 
③戦略的に敢えて正直に言った
「わざと本当の事を言えば、相手が混乱して間違える」という、ゲームとしての駆け引きをした可能性。
 
 
 
…どれが正しいのかは、今後の研究に委ねられています。
また、この結果はシンガポールという「正直さの規範が特に強い社会」で得られたものであり、他の文化圏でも同じ結果が出るかはまだわかっていません。
 
(凄く個人的に息子には、③くらいの狡猾さを持ち合わせてほしいものです笑)
 
 
 
▼「嘘はいけない」と伝える事は正しいのか
 
この研究を踏まえても、私は「嘘はよくない」と子どもに伝える事は正しいと考えます。
 
今回の実験はあくまでゲームという限定的な文脈での話です。
日常の親子関係にそのまま応用できるかどうかは、まだ全く分かっていません。
 
それ以上に大切なのは、「嘘をつかない」という行動だけでなく、誠実さという価値観そのものを育てる事だと思います。
 
例え多少の逆効果が生じたとしても、その土台は大切にしたいと思うのです。
 
 
 
▼「嘘はよくない」 + もう一つ大切な事
 
「嘘はいけません」
と伝えるだけでは十分ではないかもしれません。
 
研究が示すもう一つの重要な知見があります。
 
それは
「怒られない安心感があると、子どもは正直に話しやすくなる」
という事です。
 
これは、私の幼少期に親に沢山嘘を付いて怒られた経験を持つ身として、実感できます。
失敗に関しても、同じ事が言えるのではないでしょうか。
 
子どもが嘘を付く最大の理由の1つは
「本当の事を言ったら怒られる」
という恐怖です。
 
罰を与えるほど、子どもは怒られないために嘘を付くようになるという研究結果もあります。
 
つまり、大切なのはこの両輪です。
 
「嘘はよくない」と価値観を伝える事
「本当のことを話しても大丈夫」という安心感を与える事
 
この2つが揃って初めて、子どもは自分から正直に話せるようになるのではないでしょうか。
 
 
 
「嘘をついていいよ」で正直になるという研究は、一見すると驚きの結果です。
 
しかしその理由はまだ解明されておらず、実際の子育てに直接応用するには時期尚早と言えます。
 
子どもに誠実さを育てる上で、「嘘はよくない」という価値観を伝える事は大切です。
 
ただしそれは、叱る事とセットではなく、安心して本音を話せる関係づくりとセットであるべきだと思います。
 
科学の研究は時に私たちの直感を揺さぶります。
 
何が正しいのか…
自分がした対応は間違えていないか…
もしくは既に、間違った事をしてしまっていた…
 
育児のみならず、そういった考えに何度も繰り返し悩んでしまいます。
 
でも揺さぶられながらも、自分が大切にしたい価値観を改めて確かめる
 
——それもまた、子育てを豊かにするひとつの楽しみかもしれません。
 
 
 
 
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。