母が亡くなった後、私と姉と姪は母に「きつかったね、頑張ったね。」と母の体をさすって泣き崩れていた。

 
 
しばらくして、看護師さんがいらっしゃって「先生をお呼びしますね。」と。
先生がいらっしゃり、瞳孔と心音を確認され死亡宣告。
 
 
「親子でよくがんばりましたね」
 
 
私たちのことをずっと支えてくださった先生の優しさが表れた一言だった。
「今までありがとうございました」
そう深々と頭を下げた。
 
 
看護師さんが「一緒に処置されますか?」と言ってくださったので、手伝わせてもらった。
 
 
朝に出来なかった口腔ケアをして、黄疸で黄色くなった顔を温かいタオルで拭き、母がいつも使っていた化粧水と乳液で保湿して、母のファンデーションできれいにお化粧をした。
 
 
肌のお手入れを丁寧にしていた母。
姪が「ばあちゃんの肌はきれいだよね。」といつも言っていた。
いつもの母みたいにきれいにお化粧しようと思い、姉と一緒にお化粧をした。
 
 
下地を丁寧に塗ってファンデーションをつけると、黄疸はわからなくなり、いつもの母の顔色になった。
眉を書き、頬紅と口紅を塗ると、今にも話しかけてくれそうな感じがした。
 
 
お化粧をし終わった頃、「私も入らせてもらっていいですか?」と担当以外の看護師さんが二人入っていらっしゃった。
 
 
ずっと母に優しく接してくださってた母が大好きな看護師さんだった。
その日はすごく忙しい日だったのに、自分たちの仕事をおいて母のために来てくださった。
嬉しくて「ぜひお願いします」とお願いして死後の処置をしていただいた。
 
 
 
元気な頃の母は、看護師さんたちとすごく仲良くお話していた。
その頃から知っていらっしゃる看護師さんたちは認知症になっても状態が悪くなっても、いつも同じように声をかけてくださってた。
「○○さん、頑張ったね。」と言いながら優しくケアしてくださった。
 
 
 
霊安室に移動するときも看護師さんが五人付き添ってくださって、病院を出るまで見送ってくださった。
 
 
 
お母さん、こんなにたくさんの看護師さんに見送られて幸せだね。
母の人となりを見れた最期だった。