1041-初孫の島ユミタ | ikoma-gun(フリムン徳さん)のブログ

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(大工の徳さんが造った衝立)

大工の徳さん〈上園田徳市〉

 TOM UESONODA USA

 嬉しいなあ,嬉しいなあ,

こんな嬉しいことがあるかいな。

2歳になるアメリカ生まれの孫が

島ユミタ(喜界島言葉)で「アジイ(お爺さん),

アンマア(おばあさん)」と電話で言いよった。

滅び行く喜界島の言葉がアメリカで復活しそうや。

こんないいことがあるかいな。

 

 

この前は英語で「ハロウ,ハロウ」とだけ言えた。

電話の向こうで息子が「ハロウ,ハロウ」と

言わせているのが聞こえた。

今度は,私が「アジイ,アジイ」と言うと

「アージイ,アージイ.」と尻あがりの発音で

言うではないか。気持ちいいのう。

アメリカ生まれの3世の孫の口から出てきた

喜界島の言葉、私にとってはダイヤモンドよりも

値打がある。

 

 

日本語、英語がナンジャラホイ。

喜界島の言葉には私の思い出がいっぱい詰まっている。

喜界島の言葉を口にすると,昔の同級生,

小学校,中学校,家,屋敷,畑,海,山,

豚味噌,ファンスー,サター,アジイ,アンマアの

ことが夢のように瞬時に浮かび上がってくる。

すごく懐かしい気持ちに浸れるのだ。

初恋の味がするのだ。

 

 

私は以前,この島ユミタを残したくて,

島ユミタの文字まで作ったことがある。

文字に現せない言葉は消滅すると思ったからである。

作ってみたら,日本語の50音に23の字の

島文字を加えるだけで,島ユミタの文章が書ける。

 

 

それを「がじまる」の本に載せてもらおうと思って,

投稿したが,だめだった。

そんな文字が活字にないと言う理由だった。

ところが今は出来ると思う。

コンピューターでどんな文字でも絵でも

書けるのだから。

 

 

私はこのアジイと言う言葉を言わせるのに

だいぶ努力した。

私はある作戦を練った。

言葉は,母親の口から覚えていくのだから,

最初に,嫁にアジイという言葉を覚えて

もらうことにした。

 

 

Eメールに孫の名前で,メッセージを

じゃんじゃん送った。

孫の日本語名は「俊徳」,英語名は「ゲーブル」。   

ミスター「俊徳」 ハウ アー ユー?  

ウオット アー ユー ドウ―イング?  

アジイ(グランパ) イズ ファイン。 

アジイ イズ ハッピー。

というようなアジイを何回も入れた

内容のメッセージを何度も送った。

 

 

もうこれで,嫁も,アジイという

島ユミタを覚えたようだ。

傍で聞き耳を立てている初美に,気を使って,

アンマアと言わすと,また,

簡単にアンマアと言えたではないか。

「私の孫は賢いのう, 誰に似たんだろうか, 

イッヒッヒ」。

 

 

そしたら初美が私から受話器を取り上げて,

「アンマア, アンマア」と言わしよる。

あまりおもろうない状況や。

ヤキモチをやきたくなった。

電話が切れてから, すぐにまた電話が鳴った。

受話器を取っても誰も出ない。      

 孫と思ったから「アジイ,アジイ」と言った。                            

直感は当たった。

 

 

孫だった。

「アージイ, アージイ」と言っているではないか。

もし, お客さんからの電話だったら,

「大工の徳さん,気でも狂ったの」と

言われたに違いない。

何回もアージイ,アージイと言って

喜んでいるようだ。

このおじいちゃんはもっと喜んでいる。

 

 

いつまでもアジイ,アジイのやり取りをした。

電話はき切れては鳴り, 切れては鳴り, 

何回も, 心地よい,アジイ、アジイの

言葉の交換をした。

メモリーの電話番号のボタンを覚えて,

自分で何回もかけたらしい。

 

 

頼もしいやっちゃ。ほんまのアジイに

なったような気持ちのいい1日だった。

孫はええもんや。

   大工の徳さん  5-19-2003