② その夜、義母の訃報を娘のマキコに伝えた。
思いもよらない事が起きた。
「飛行機の切符は私が買ってあげるから葬式に喜界島へ帰りなさい。急いで。」
とマキコが夢みたいな事を言うではないか。
今まで散々親を泣かした、心配させたあの娘がよ。
「そんな子供でも歳をとったら、まともになる、あなたの子供を信じなさい」
です。異変が起きたみたいだった。
3時間前の悔し涙と悲し涙は嬉し涙になった。
悔しい色の涙、悲しい色の涙、うれしい色の涙と、
虹色の涙が私の頬を濡らした。
やはり義母が助けてくれたのだ。
義母はどうしても自分の長女に会いたいのだ。
さあ、えらいこっちゃ。大急ぎで航空券の手配だ。
JALの日本語案内へ予約の電話を入れても
「今しばらくお待ち下さい」ばかりでらちがあかない。
そこでマキコが英語案内に電話と、
すぐに出てきてすんなりと決まった。
アメリカの日本の航空会社は日本語案内は忙しくて、
英語案内は暇なのみたいである。
翌日の4月15日午後1時55分ロス発のJALに
乗れば喜界島の義母の葬式に間に合いそうだ。
マキコが自分の銀行の貯金全部をおろしてくれた。
さらに飛行機の切符はビザで買ってくれた。
また虹色の涙が出てきた。
こんな気持のいいことがめったにあるかいな。
こんないい気持ちをどこかにとって永久保存しておきたい。
これで、お金の件と切符の件は解決した。