「としちゃん」
北の新地の小さな店で
働いていた
素人みたいなホステスだった
飲みすぎると
もう飲むなと、
お袋のようだった
肌がつやつやで
白人のような白さだった
手と手が触れ合うと
ジーンと甘酸っぱい香水みたいな電気が流れてきた
酔って 介抱されて
一緒に寝た時も あった
俺をベッドに 自分はフロアに
焦らした彼女だった
35年たっても会いたいのは
としちゃん
アメリカから、
あんたの生まれ故郷の市役所に
2回も電話したが、
探せなかった、
今でも同じ名前で
どこに、生きてはりますか