359-48年ぶりの再会準備 | ikoma-gun(フリムン徳さん)のブログ

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109  「48年ぶりの再会準備」 

 「待ちくたびれ病」という病気もありそうである。

待ち遠しい、 待ち遠しい、ホンマニ待ち遠しい。

63年の私の人生でこんなに待ち遠しい経験を

しているのは始めてである。

指折り数えて待っているだけではない。

指折りしてから、またその指を開いて待っている。

それでも時間の経つのが遅い、日にちの経つのが遅い。

駅のホームで、電車を待つことなんか待つうちではない。

こっちは時間と日にちを同時に待ち続けている。



 23年振りにこのフリムン徳さんはアメリカから

日本へ帰る。

病で倒れて、落ち込んでいた時にベッドの上で書いた

エッセーの出版費用をカンパして本にして出版してくれ、

そして文章の書き方も教えてくれた、

日本の喜界島同級生の好意で11月11日に日本へ帰ることになった。

故郷喜界島の早町中学校を卒業して48年も

会ってない日本のほとんどの同級生に会えるのだ。

東京と喜界島で100人以上も集まって、

私の歓迎会と講演会をやってくれると言う。

このノンベーで、そして大工の私には

似合わない人生最大の出来事になりそうである。



 だから今度の帰国は親、兄弟、親戚よりも同級生が第一だ。

私はこの計画を一年少し前から立てた。

「こんなに早くからと」嫁はんは笑いよった。

初めに、切符代を貯めることからした。

少ない身体障害者の年金生活ではなかなか貯まらなく、

時間がかかった。その次にしたのは6ヶ月前の

飛行機の予約だった。

飛行機の予約は最長6ヶ月前からだという事も始めて知った。

この予約をした時から、日本へ帰れるという感じがしだしてきた。

 

その次は5ヶ月前に新しい靴を買った。

何でそんなに早く靴を買うかというと、靴を履き慣らすためである。

私はここ4年ほど、靴を履くのは教会へ行く日曜日と2週間に

1回近くの町パソロブレスへ買い物に行く日以外は

家の中でもの書きをしているから、殆ど靴は履かない。

皮靴ではない、レザー製を買った。

100人以上の前で、運動靴ではスピーチは似合わんと

思ったからである。この靴の色でいろいろ考えた。

どの服の色にも合うのはやはり黒だと思って黒を買った。

両膝が痛いから、うつむいて靴紐をくくったり、

解いたりするのが面倒だから、靴紐のない一枚皮のを探したら、

殆どが100ドル以上だ。靴の7足代で日本往復切符の切符が買える。

おお、 高!!、

こんなん買えるわけがない、とうとう黒いレザーの紐無しのを

29ドル99セントで買った。

でも、やはり、本皮とは光が違う。

でもこれ位のがこのフリムンにはおおている。

 

2ヶ月前には、旅行鞄と下着類、シャツ、ズボン、

ジャケットを買った。3週間の旅行やから、

6枚ずつ下着を買った。この下着が1枚5ドル以上もする。

下着に5ドルも払うのは損してるみたいに思えた。

ビールや酒を買う5ドルは得をしていると思うのに、

難儀な男ハンである。

いや、酒やビールを長年親友にしてきたからであろう。

 

それから、まだ困った買い物がある。

香水だ。

日本は男も香水をして化粧をしていると聞いた。

このフリムン大工さんは香水なんか買ったことも

使ったこともない。

男がつけるのも香水と思っていたら、

ロスのフリムン徳さん応援団長に、

「男がつけるのは香水ではなくオーデコロンというのだ」

と言われた。

このフリムンは63歳になるまで香水とオーデコロンの

違いも知らなかった。

難儀な男です。

男の汗臭さが一番のおなごはんを引きつける香水と思っていた。

香水売り場なんか行くのは恥ずかしさを通り越して、

怖いぐらいや。

でも、今度は48年ぶりに会う同級生の別嬪さんと

「本を書いたフリムン、作家のフリムン徳さん」として

抱き合って挨拶するつもりだから、汗臭い臭いではあかん。

やはり、ほんのりと、微かな甘酸っぱい

匂いのするのを付けて行きたい。なんぎやのう。



 教会へ行く日曜日だけに付けている髭剃り後の

クリームにするか、思い切り度胸を振り絞って、

化粧品売り場で生まれて始めてオーデコロンというものを

買うか迷うています。

48年ぶりに会う私の喜界島の同級生の別嬪さん、

このフリムンの匂いを嗅ぎ当ててください。