『ためになる健康情報』 第47回 救急車を呼ぶ前に

北本中央クリニック 神経内科 藤本健一

 

パーキンソン病の原因は脳内のドパミン不足です。ドパミンを補うと症状は改善します。

 

ドパミンは消化管で吸収されないため、前駆体のレボドパが使われます。

 

レボドパは薬効が短いので、発病初期は1日2~3回の服薬で済みますが、進行期は5~6回に分けて服薬する必要があります。

 

服薬が遅れると薬効が切れて「オフ」を生じます。ドパミンは運動系だけでなく、精神系(報酬系)でも使われます。

 

このためオフの症状は運動症状とは限らず、痛み、しびれ、火照り、冷感などの感覚障害や、胸部や腹部の締めつけ感、呼吸苦、動悸や息切れ、異常発汗、頻尿、不安、パニックなど、様々な非運動症状を伴います。

 

非運動症状は、動けないこと以上に苦しい症状です。

 

胸が締めつけられて息がつけず、不安になって救急車を呼びたくなります。

 

病院に搬送されて血液中の酸素濃度を測定すると正常で、息が苦しい筈ではないと言われます。

 

呼吸苦は報酬系のドパミン不足による不安症状です。レボドパを服薬してドパミンを補充すると、嘘のように解消します。

 

救急車を呼ぶ前に、まずレボドパを服薬してみてください。