『ためになる健康情報』 第45回 衝動制御障害
北本中央クリニック 神経内科 藤本健一
パーキンソン病は脳内の運動系のドパミンが不足して発症します。
運動症状はお薬でドパミンを補充して治療します。脳内でドパミンは運動系のほか、報酬系でも使われます。
治療により報酬系のドパミンが過剰になると、病的賭博、買い物依存症、過食症、過剰性欲などの衝動制御障害が誘発されることがあります。
病的賭博は、以前はパチンコが多かったのですが、最近はスマホを使った競馬やゲームの課金などが目立ちます。
買い物依存症は女性に多く、テレホンショッピングやネット通販で同じようなものを繰り返し購入し、購入しても使わないのが特徴です。
過食症ではお菓子の袋を開けると最後まで食べ続けます。
パーキンソン病の患者さんは一般的にやせていますが、急に体重が増えるときは過食症を疑ってください。
過剰性欲は男性に多く、アダルトビデオを見続けたり、セクハラ行為に及んだりします。
衝動制御障害はパーキンソン病患者の十数%に認められます。
ドパミン補充薬の種類を替えることで治療可能ですので、これらの症状で困っているときは担当医に相談してください。