『ためになる健康情報』 第44回 昼間の眠気

北本中央クリニック 神経内科 藤本健一

 

薬を飲むと眠くなる、食事をすると眠くなる、テレビを見ると眠くなる、多くのパーキンソン病の患者さんは昼間の眠気を経験します。

 

パーキンソン病はレビー小体が蓄積して発症します。

レビー小体が中脳のドパミン細胞に溜まると運動症状が、大脳皮質に広がると認知機能の変動、すなわち覚醒レベルの変動が出現し、昼間の傾眠が増加します。

 

レビー小体は自律神経にも溜まります、その結果血流の調整が不良となり、食後に血液が消化管に集中し脳血流が減るため眠くなります。

パーキンソン病では、不足するドパミンをお薬で補充して治療します。

 

すべてのドパミン補充薬は、眠気を誘発する可能性が指摘されています。

 

特に非麦角系のドパミンアゴニストは眠気が強く自発的睡眠による自動車事故が多発したため、運転禁止薬剤に指定されました。

 

MAO-B阻害薬のサフィナミドや、抗てんかん薬としても使われるゾニサミドも眠気の出やすいお薬です。

 

パーキンソン病は夜間頻尿や下肢静止不能症候群、睡眠時ミオクローヌスなどを合併して夜間睡眠が分断され、昼間の傾眠の原因となることもあります。