『ためになる健康情報』 第41回 ドパミンアゴニスト

北本中央クリニック 神経内科 藤本健一

 

パーキンソン病は脳内のドパミンが不足して発症します。

吸収されないドパミンの代わりに、前駆体のレボドパを服薬して

ドパミンを補います。

 

レボドパは薬効が短く、薬効のオンとオフを生じるため、

持続的にドパミン受容体を刺激するドパミンアゴニストが開発されました。

2000年以前に開発されたドパミンアゴニストは麦角構造を持つため心臓弁膜症を引き起こすことが分かり、麦角構造を持たない非麦角系が開発されましたが、非麦角系では突発的睡眠による自動車事故が多発し、運転が禁止されました。

 

2000年当時、70~75歳未満はドパミンアゴニストでの治療開始が推奨されました。

しかし、レボドパに比べて病的賭博、買い物依存、過食症、性行動亢進などの衝動制御障害や、幻覚、下腿浮腫、姿勢異常などが誘発されやすいことが分かり、最近は薬効のオン・オフの目立つ65歳未満でなければレボドパでの治療開始が推奨されています。

 

ただし、薬効の短いレボドパでは夜間や早朝のドパミン補充に対応できないため、皮膚から吸収されて夜間も効果を示す経皮吸収型のドパミンアゴニストが開発されました。