単身入居者が亡くなった時、相続人が分からず居室内の残置物をどうしたらよいか困る。(残置物は相続人が相続する財産で、勝手に処分できない)だから単身入居者、特に高齢者には貸したくない。認知症になったら近隣に迷惑をかけたりもするし、火災の心配もあるということで、従来からなかなか高齢者に貸すのを渋る大家さんが多い。

 そんなときにこの「終身建物賃貸借契約」という制度が役に立つ。「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき高齢者単身・夫婦世帯等が終身にわたり安心して賃貸住宅に居住することができる仕組み。借家人が生きている限り存続し死亡の時に終了する。相続のない一代限りの借家契約を結ぶことができる制度・・・・・(国土交通省HPより)

 賃貸人は事前に都道府県知事の許可を必要とする。賃借人は60歳以上ならどなたでもこの契約を結ぶことができる。契約の方法は公正証書に限り、期間も賃借人が死亡の時まで、と普通賃貸借契約とは異なる。相続の無いのも特徴で、同居配偶者の一時居住は認められたり、申し出により継続居住が認められたりはする。

いずれにしても大家さんの立場で考えると、事前に入居者へのヒアリングを丁寧に行い、相続人さんやかかりつけのお医者さんを聞いておいたり、万一の場合に残置物の処分などのリスト表をあらかじめ作成し後々困らないようにしておくことが大切。また昔のように賃料を集金にいったりして日頃からコミュニケーションをはかったりするのも有効な対策といえる。

(文責 妹尾)