失敗しない既存(中古)住宅選びのポイントとして、その1では宅地建物取引業法改正に伴うインスペクション(建物状況調査)について、その2では「安心R住宅」について記述しましたが、今回は物件を案内されたときの留意点(気をつけなければいけないところ)をお話ししましょう。

 

まず、物件に着いた時、全景をみましょう。もし道路いっぱいいっぱい、そしてお隣りとの間が30センチも空いていないようなら建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合)オーバー、「違反建築」の疑いがあります。そのような住宅では正面のベランダのアルミ等の屋根の先が道路との境界より飛び出している場合があります。違反建築の場合は住宅ローンが難しいでしょう。

 

次に、お隣りとの境界に鋲とか→などの標(しるし)があるでしょうか。なければ契約後決済までに売主さんに入れてもらって下さい。そしてその前に立って何か例えば樹木とか樋などが出ていないでしょうか。これを「越境」といいますが業者に言ってお隣りとの間で「覚書」を交わす段取りをしてもらいましょう。(1、越境していることの確認 2、将来建て替える際には境界内に収めること 3、売る際にはこれを承継すること)。ついでにその上、空中も見て下さい。高圧電線など通ってないかも確認して下さい。

 

続いて、水道メーターの位置を確認してください。もし敷地内の道路側になければ(例えば裏側の隣接地に近いところにある場合)水道管が他人地を通っている場合があります。このような場合、家を建て替える際水道管(給水管)を新たに全面道路から「引込み替え」をしないといけません。また、メーターのフタのところに13mmと書いてある場合も同様で、引込み替えには多大な費用がかかります。

 

擁壁や塀等がある場合はひび割れしていないか変色(苔やみず染み)がないか確認してみて下さい。劣化していると地震の際に崩れたりすることがあります。敷地と道路との高低差もチェックして下さい。昔は1時間に50mmくらいの雨を想定して雨水の排水を造っていますから近年のゲリラ豪雨には対応していません。敷地のほうが低かったり下り坂の下手側にあると大雨の際に排水溝からあふれた雨が敷地内に浸入して建物に浸水する場合があります。晴れた日に案内されたら雨の日にも見に行ってみましょう。

 

その後建物の周囲をグルっと回ってみて下さい。何か不自然に外壁の仕様が違ったり建物図面と突き合わせて飛び出していたりしませんか。その場合、増築がなされていて登記がされていない場合があります。このような時は増築登記をしないと住宅ローンがつきません。費用がかかりますので必ず業者に確認して下さい。

インスペクション(建物状況調査)をしていれば判りますが、基礎や外壁に0.5mm以上の

ひび割れ(0.5mmのシャープペンシルの芯が20mm以上入ったら)構造耐力上主要な部分(基礎、土台および床組、床、柱および梁など)に不具合がある場合があります。

 

周辺の環境、騒音も注意して下さい。日曜に案内されたら平日にも見に行って下さい。昼間に案内されたら晩も見に行ってみて下さい。騒音や違法駐車の多い地域である場合があります。いずれにしても一生に一度あるかないかの大切な家選びです。あとで後悔しないようにチェックして下さいね。

 

インスペクション関西LLP 妹尾 和江