Audi A8 エンジン不調(その2) | 一休の整備記録簿

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日々の自動車メンテナンス記録

高圧燃料ポンプスプリング折損、シール損傷からガソリンリークで完治の予定だった。

しかし完治せず、頭を冷やして、その2・・・、

 

 

実測値から各センサーの入出力を確認するが、制御が緻密でさっぱり解らない?

補正する故のことなんだろうが、解らないこと盛りだくさん。

 

エアマス実測値も基準値から大きく外れている。ところがこの車両にはエアマスがない?

スロットル開度(α)エンジン回転数(N)から吸入空気量を計算し各種補正を加え噴射時間を決定する

「α-N制御」のようだ。

システムすら解らないのに直せるはずがないが、振り出しに戻ってまとめてみる。。。

 

 

現在の状態は、補正値-25%から 過濃リッチ状態には間違いない。

過濃制御の状態と言えば大雑把に「燃料の増量」、「吸入空気量の不足」しか思い浮かばない。

バキュームホースすら簡単に外せるとこがないが、ブレーキブースタであろうホースから

エアーを吸わせると短期補正はゼロ方向に変化していくが、次第にエンジンも不調となりマフラーから

白煙が出始る。

 

過濃リッチ制御の原因は・・・、

○低圧、高圧燃料プレッシャーはテスター実測数値からは問題なし。

○エアクリーナー、ターボタービン閉鎖も確認するが目視では異常なし、過給もすこぶるしている。

○インジェクター複数不良?、朝一番の始動性は良いが、温まるとアクセル踏まないと始動困難、

 プラグを外した時、シリンダー内HCを計るが、どのシリンダーも多め、内部スラッジからも反応あり。

 インジェクターアクセスにもエンジン脱着が必要かもと一時的に除外、

 ※最悪も想定しつつ車載でのインジェクター洗浄も変化を見るには有効かと、津軽の変態さんにもに  

  打診しておく(笑))

○マフラー閉鎖、EXマニ(触媒手前)の両バンクのA/Fセンサーを外すも変化なし、除外

○ミスファイアーを拾う原因としては点火系の不良も考えられるため、プラグも両バンクくすぶっている。

 プラグ交換を行うが、@4160円×8本(汗)

 IGコイルで点火時間、点火電圧をみるも、どこも安定しない、数値もバラバラ。

 今までの経験から点火系失火で補正値が-MAXなんてあり得ない+のほうが多いと、除外

○バルブタイミングの狂い、一時的に完治する場合もあり、チェーンのコマ飛び緩みも考えにくい、

 確認するにもエンジンリヤに取付けられミッション下ろし?見るのがイヤ(笑)

 

 不調時の左右バンク可変バルブ用OCV(仮名)が不規則で打音カチカチがする。

 オシロで点検した結果、補正制御の問題と、除外(上OCV波形/下カム位置)

 

異音時波形 (実測値も目標とバラツキあり)

 

調子がいい時の波形

 

昼間は集中できないのでジェットストリームの時間、工場シャッターを締めアイドリングで30分放置、

事務業務を終え工場に侵入すると、なんと!

昼間には感じなかったモヤが薄っすらと、エンジンオイルが燃えているのか?

入庫時確認したが、オイルは減っていない、むしろUPレベル。

ブローバイ過多なのか?この車両、ブローバイをガスとオイルを分離するオイルセパレーション

(大型オイルセパレーター)が取付けられている。

↓ここでオイルが分離せず燃焼していれば・・・?

 

 

しかし、ここにアクセスするもフロントマニホールドと2機のターボの脱着が必要となる。

どうやって点検するのか?唯一、ブローバイガス→INマニ入口に30Φくらいのホースが見える。

L型ロングノーズのプライヤーでクランプできた。しかし、HCの変化もなく、エンジン不調も変わらない。

 

エンジンオイルリークを期待してフロントマニホールド、吸入空気冷却コアを外していく。

フロントマニホールド内左バンク内が右に比べオイルで濡れている。ここが濡れる=タービンか?

それでもオイルセパレーターが怪しいのではとタービンまで到達した瞬間、まさかの・・・!

 

 

走行27000km、異音もない、オイル消費もない、スロットル内もオイル溜り、過度のオイル汚れもない。

アイドリング不調、エンジンストールの原因はこれかい(汗) 

ターボタービンの回転を失わないでオイルが気化して燃焼?

オイルセパレーターに到達する前に原因が判明した。ツインターボの左バンクシャフトガタが大きい!

それにしても27000Kmでダメになるのかと地元のAudiDRさんに聞いてみた。

A8のターボ交換は今まで経験はないという、全国での交換履歴を調べていただいた。

するとオイルセパレーターの下にオイルモジュールカバーがあり、そこにオイルストレーナーあり、

ターボと同時交換しているようですと、親切に調べていただいた。(感謝) 

奥をばらしてオイルモジュールカバーを外すと500円玉くらいのオイルストレーナーが出てきた。

 

 

目視では汚れ、カーボンの堆積物はないようがだ? トレーナーは細かい網。

作業灯の上にあげてみると、あきらかに詰まっている。

(作業灯にビニテを張ってます。交換前ストレーナーも下は明かりあり↓)

 

 

エンジンオイル管理を怠るとこストレーナーが詰まる、ターボが逝く、これが原因であった。

タービンシャフトガタからオイル侵入、高温になるターボチャージャ、ポンプインペラーでオイルが気化、

燃焼することで過濃、オーバーリッチが原因であった。

このクラスになると安いオイルを頻繁にはNGのようだ。

指定オイル又はACEA規格やHTHUの規格で粘度も疎かにできないと痛感した。

 

ちなみにターボ価格は純正66万円×2 132万円(技術料別) この瞬間、ビビッてしまう。

今回、保障はなしを条件に、海外物のリビルトを使用し安価に仕上げた。

V8(NA)4.8㍑が、V8(2ターボ)4.0㍑に変更されているが、ハイパワーポテンシャルは復帰。

しかし?これをダウンサイジングと言っているのに納得いかない。

長くなったが、結論は・・・、

故障診断するには、ジェットストリームの時間が最適(笑)

 

 

・・・・・、令和4年9月、リコールになりやがった!!

ターボもダメで交換、AUDIはお客様に金返せ!!