台東区の浅草寺には、幕末三舟の大きな書額が保管されている。ふだんは見ることができないが、時々「絵馬展」として公開されている。

•勝海舟「世泰時豊」
•山岡鉄舟「南無観世音」
•高橋泥舟「南無観世音菩薩」

『絵馬図録』によると、これらは「浅草寺本堂裏の軒下に北面してかけられていたもの」だという。

この書額がいつ頃書かれたものか分からない。海舟の「世泰時豊」(ヨヤスク トキユタカナリ)から想像すると、世の中が落ち着いたあたり、西南戦争から数年後だろうか。山岡鉄舟の「正四位」からすると明治15年以降ということだろうか。もっとも同時に書かれたものかどうかは分からない。

また、浅草寺本堂には、山岡鉄舟が剣の極意だと言った「施無畏」の額がある。以前は深見玄岱筆であったけれど、いまは別のものが掲げられているようだ。深見玄岱の扁額も、そのうちに「絵馬展」などで見ることができるだろう。
以前の深見玄岱筆の「施無畏」。