この7月に山岡鉄舟展があった。

・埼玉県小川町立図書館と割烹二葉(“忠七めし”で知られている)での「山岡鉄舟展」
・日本橋山本海苔店での「山本海苔店と鉄舟」
・京橋の加島美術ギャラリーでの「西郷隆盛と幕末三舟の書展」

開催期間中に3会場へ見学に行くことができました。写真撮影が可能だった作品から数点紹介してみたい。
埼玉県小川町立図書館にて。いずれも鉄舟直筆。左は吉野神社の幟旗の原書(紙)で「天得一以清」と記されている(天の字が見えないのは残念!)。右は白鳥神社の幟旗(木綿)で「鴻澤霑民庶」とある。こちらは署名部分が隠れている。明治13年9月のようだ。籾殻を取り除いて筆として、この木綿に書いたという。
なお、図書館での展示は幟旗が3点。割烹二葉では山岡鉄舟の書軸などを見ることができた。

埼玉県小川町立図書館にて。寄居町にある羽黒神社の幟旗。長い間、木箱の中で保管されていたため、この幟旗の保存状態は非常にいい。昭和11年に作成(複製)されたものらしい。原書は失われてしまったという。「阜横麦穂連」と記されている。

埼玉県小川町立図書館にて。これは山岡鉄舟直筆の幟旗(白鳥神社)の補修の跡。この木綿は地域の女性たちが縫い合わせて作ったという。

日本橋の山本海苔店にて。中央の鉄舟筆の「精神一到何事不成」は力強い。右は西郷隆盛、左は勝海舟の書。

日本橋の山本海苔店にて。一番右は高橋泥舟の書。

加島美術ギャラリーで販売していた図録より(61頁。読み方については137
頁を参照)。この山岡鉄舟の書は「莫読書 莫読書…」で始まり、「莫読書 成書痴」で終わっている。この中味は私にはよく理解できないが、「書を読むなかれ」(あるいは「読書するなかれ」)というのは印象的だ。手元の漢和辞典を開いてみると、文末の“書痴”とは「読書ばかりしていて、世の中のことに疎い人をばかにした言葉」だという。

埼玉県小川町立図書館、および割烹二葉での配付物より。中央の「重友者交時極難 輕友者交時極易」は私にはいい教訓となるものだ。