来週、数名で上野から浅草あたりを散策する予定を立てている。土曜の午後、その下見のために出かけた。出発が遅かったので早足で回るつもりだった。

上野駅から浅草通り沿いに歩き、まず誓教寺に向かった。銀座線稲荷町駅を少し過ぎたあたりで右に曲がって数分のところに誓教寺がある。門が締まっていたものの、横の小さな通用門は開いていた。そこから入ると竹箒の音がしていた。落ち葉を掃いているらしかった。この方はご住職のようだ。私が「葛飾北斎のお墓を拝見したい」と話すと、箒を立て掛けて「ご案内しましょう」という。北斎の墓の前で、ご住職から、北斎が生涯に引っ越しを93回もしたとか、89歳まで生きたとか、また墓石側面に書かれている辞世の句“ひと魂でゆく気散じや夏の原”の話、墓石のこと、東京大空襲の話や、4/18の命日に当たる日には北斎の絵が数点展示されることなど、いろいろと聞かせてもらった。お礼を言い、辞したときは辺りが薄暗くなっていた。

私は誓教寺をでて、道路を挟んですぐ向かい側にある吉祥院に入った。ここには山岡鉄舟の筆跡による供養塔がある。ここでもご住職からお話を聞くことができた。供養塔の痛みが激しいので、近々作り直したいと話していた。そう言えば、山岡鉄舟が行き付けだったという釣り道具屋「東作」もこの近くにある。

この後は、池波正太郎記念文庫を見学。その後、食事を済ませて帰路についた。予定している散策ルートを回ることはできなかったので、下見の続きはまたあらためてするつもりだ。
誓教寺。葛飾北斎像。

誓教寺。葛飾北斎墓。“画狂老人卍墓”とある。

吉祥院

吉祥院。“贈大教正普寛靈尊供養”と読める。