富士川水溜り石 | 水石 一刻亮のちょっとしたコダワリ

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水石の深淵なる美を見つめて

連日暑い日が続きますね、

ブログ記事は大概夜の投稿なんですが、あまりの暑さに滞ってました。

 

御盆休みは9日から16日までとれましたので十分時間はあったのですが、

何となく暑さでダラダラして終わってしまいました。

 

10日は安倍川探石に菊川水石会長と出掛けまして、赤い鉄丸石のまあまあな石を拾いました。

帰りに『光公庵』川合さんの御宅にお邪魔しまして、水盤やら名石やら色々と見せて頂きました。

 

そこで、私の目に止まりました富士川石、お値段を聞きましてそれ程高くなかったので

取り置きをお願いしまして、1週間の心の冷却期間を置きまして(笑)16日に購入してきました。

元値よりも2割も負けてくれましたけどね、同行した会長が水盤を三枚も仕入れましたし!!!

 

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で、早速水盤に据えてみました。

 

鴻陽の楕円水盤ですが、どうもしっくりきません。

石の据え位置について、前後方向は水盤の中央に据えたのですが横長で奥行きの少ない石ですので、石の前側の余白が広すぎると感じました。

 

右側の余白も広すぎて石が映えてきません。

いくら日本の美は余白の美だと言っても、そこはバランスの問題ですので・・・

 

そこで、同じく鴻陽の短冊水盤に変えて見ます。

短冊とは水盤の縦横比が1:2以上の長方水盤を指します。

当然ながら奥行きの少ない横長の石に合います。

どうでしょう、余白のバランスがとれて水石が引き立って見えると思いますが・・・

なかには楕円水盤の据え方のほうが好きと言う人もあるかも知れません。

 

景色を大きく見せるために添配を使用してみました。

 

湖畔に佇む観音様を配しました。

掛軸の瀧から流れ落ちた水流が、やがて川となり、観音様の右手奥から湖に注ぎ込みます。

 

霧吹きで水を打って濡れ肌と水を湛えた状態を演出します。

 

 

 

添配は銅製の五重塔でも良いのですが、手持ちの道具に有りませんので

今回は観音様を使用しました。

 

水の注ぎ口があれば、落ち口も有ることが理想です。

 

 

 

県内の愛石家が長いこと愛蔵していた石だそうで、全くの初心石です。

石肌は佐治川にも似た渋さがあり、黙っていれば大方の人が見紛うと思います。

よく見ますと石肌に白い斑がありますので、その辺りが富士川石の証でしょうか・・・

数人の愛石家の手を経て私のもとにやってきた石ですが、

どうやら末永く楽しむことが出来る石となりそうで良かったです。

台座も有りますので違った飾り方も出来そうですね。