◆不動明王
皆さんは、不動明王と聞くと、
どんなイメージがありますか?
「怖い顔をした仏様」
「護摩で祈る仏様」
「厄除けや霊障に強い仏様」
そんな印象を持っている方も
多いと思います。
実際、YouTubeにおいて、
不動明王のご真言の動画を投稿しましたら、
このような有難いコメントを頂きました。
「なんか背中がめっちゃあったかいです!
「身体がかるくなりました!!」
「白真住職の御経のお声、初めて聴きました。
とても心に響きました。
すべての邪悪なもの焼き払えました。
ずっと聴いていられます」
「ありがとうございます。
聴いている内に涙が出てきました。」
もちろん感じ方には個人差があります。
しかし、不動明王は昔から密教で、
「魔障を退け、
人々を守る明王」
として篤く信仰されてきました。
私自身も長年護摩をお勤めさせて
いただく中で、お不動さまのお力添えを
感じる場面は何度もあります。
ですから、動画とは言え、
実際に不動護摩を焚いてのご真言ですので、
このような霊験を感じられたという方が
おられても不思議なことでは
ないかもしれません。
実際、密教や修験道では、
不動明王は古くから魔障を退け、
人々を守る仏様として
篤く信仰されてきました。
そして現在でも、
護摩祈祷や厄除け祈願などで、
不動明王に手を合わせる方は
たくさんおられます。
では、なぜこれほどまでに、
不動明王は多くの人々から
信仰され続けてきたのでしょうか?
今回は、その理由を
見ていきたいと思います。
◆不動明王とはどんな仏様?
不動明王は、密教を代表する明王です。
その恐ろしい姿から、
「怒っている仏様」
と思われがちですが、
実はそうではありません。
不動明王は、大日如来が、
人々を救うために姿を変えて
現れた仏様とされています。
仏様には、優しく教え導く姿もあれば、
厳しく迷いを断ち切る姿もあります。
その「厳しさ」を表した姿が、
不動明王なのです。
◆なぜ怒った顔をしているの?
普通に考えると、仏様なのに
怒っているのは不思議ですよね。
しかし密教では、
「優しい言葉だけでは
救えない人もいる」
と考えます。
例えば、
子どもが道路へ飛び出そうとしたら、
親は笑顔ではなく、
「危ない!」
と大きな声で止めます。
それは怒っているのではなく、
守ろうとしているからです。
不動明王も同じです。
迷いの中にいる私たちを、
何とか救おうとしている姿なのです。
◆怖い顔の奥には慈悲がある
密教には、
「外は忿怒、内は慈悲」
という考え方があります。
見た目は恐ろしくても、
心は誰よりも慈悲深い。
それが不動明王です。
だからこそ、何百年もの間、
多くの人々から信仰されてきました。
◆日本で不動明王信仰が広まる
日本で不動明王への信仰が広まる
大きなきっかけとなった一人が、
智証大師円珍さんです。
伝記によれば、比叡山で修行中、
金色に輝く不動明王が現れ、
「仏法を伝え、
多くの人々を救いなさい」
と告げられたと伝えられています。
さらに、唐へ向かう途中、
暴風雨に遭った際にも、
不動明王の加護によって無事に
渡ることができたことや、
中国で病に倒れた時にも、
不動明王が姿を現したという
伝承が残されています。
もちろん、これらは
古くから伝わる伝承です。
しかし、それだけ昔の人々が、
不動明王を人生の危機を救う仏様として
信仰してきたことが分かります。
◆今も多くの人が
手を合わせる理由
不動明王は、病気平癒、厄除け、開運。
そして魔障退散など、さまざまな
祈願の本尊として、今も全国の寺院で
護摩祈祷が修されています。
しかし、不動明王の本当のお力は、
それだけではありません。
その厳しいお姿の奥には、
「迷いから救いたい」
「苦しみから立ち上がってほしい」
という、大きな慈悲の心があります。
だからこそ、不動明王は、
時代を超えて今もなお、多くの人々の
心の支えとなっているのでしょう。
不動明王は、怖い仏様ではありません。
本当に怖いのは、私たちの中にある、
怒りや欲望、執着や怠け心です。
それらを断ち切り、正しい方向へ
導こうとしてくださるのが不動明王なのです。
だからこそ今も、護摩祈祷や密教の世界では、
特別な信仰を集め続けています。
◆次回は
不動法や不動護摩とは
どのような修法なのか?
炎にはどのような意味があるのか?
そして、なぜ不動明王が密教で
これほど大切にされているのかを、
もう少し詳しく見ていきたいと思います。
つづく
