5月25日の日経社説「夢をもって就農できる環境を作りたい」に
小見出しで「農協中心の農政改めよ」がでている。
農政は農協にハイジャックされていると認識してるのだろうか。
事例として引用してるのは、宮治君のみやじ豚、吉田ふるさと村、それに遠野市の高田自動車学校の農業参入。これらはいずれも農協と関係がない。

農協は元々農業者の協同組織。
現在も建前は農業者の協同組織。

だが、非農家が半分も占め、残りの農家というくくりになってる人々も、9割は農業者といえるかどうか怪しい存在。
そう考えると、結局、農業者というのは、農協組合員900万戸のうち5%しかいなくなる。
農協は非農業者の組織といってもおかしくはない状況にある。

非農家の組織が農政をハイジャックしてるとしたら、たしかにそうした組織に左右される農政はおかしい。
農協は農政活動をほどほどにし、事業を熱心に行う地域協同組合に転身した方が良いと思うのだが、、。
しかし、全中の次の専務人事は見ものかもしれない。
おそらく、来年の参議院選候補をつくるのだろうから。
選挙を、村のお祭りぐらいに考えてるのかもしれない。


以下引用掲載日 2009年05月25日 日本経済新聞朝刊 

農業を開く
 日本の農業が直面する最大の課題は将来の担い手をどのように確保す
るかにある。すでに農業就業者の六割は六十五歳以上の高齢者だ。政府
が食料自給率を高めようと旗を振っても、必要な担い手がいなければ政
策効果があがるはずもない。
 この十年で農家数は二割近く減り、東京都の面積の一・五倍に相当
する農地が消えた。就農者が減っても一戸当たりの経営規模が拡大すれ
ばまだいいが、今も担い手の大半は小規模な兼業農家である。

新たな3K職場目指す
 収入の柱が農業という主業農家は全国で四十三万戸しかいない。新規
就農者は二〇〇六年で約七万五千人いたが、三十九歳以下の若手は就農
者の七人に一人という状況だ。
 担い手を確保するためにはまず、各農家の後継ぎが親の仕事を受け継
ぐ環境を整えることが重要だ。そのためには農協に過度に依存しない新
たなビジネスモデルが必要だろう。
簡単ではないが、将来に希望をつなぐ新たな試みも始まっている。
 三十歳前後の若手農業者が「農家のこせがれネットワーク」を立ち上
げた。代表は神奈川県藤沢市で養豚業を営む宮治勇輔さんだ。特定非営
利活動法人(NPO法人)にしようと募集した。設立発起人には、全国か
ら約千三百人が名乗りを上げた。
 農業を「かっこよく、感動があり、稼げる」という新たな3K職場にし
ようと、「こせがれ」の帰農を支援するのが目的だ。様々なイベントを
開き、意欲のある若手農家と消費者を直接つなげることで、「作って終
わり」の農業を変える。
 宮治さん自身、大卒後四年余りの会社員生活を経て親の後を継いだ。
独自の販売方法でわずか四年で直販比率を約五割に高めた。自ら手がけ
た商品をブランドに育て、利益が出る値段で消費者に届ける。「農業再
生の最短最速の道はこせがれが頑張ること」と宮治さんは話す。
 次に、企業など他分野からの農業参入を促したい。就職難や田舎暮ら
しブームで就農希望者は増えているが、個人でゼロから農業を拓(ひら)
くのは様々な困難が伴う。
 全国農業会議所が〇六年度に実施した調査によると、新規就農にかか
る費用は生活資金も含めて平均千二百万円に上る。現実的な選択肢は、
給料をもらいながら働く農業生産法人や企業への就職だろう。

 島根県雲南市の第三セクター、吉田ふるさと村は二十歳代後半の若者
二人を採用し、今春から野菜栽培に本格的に乗り出した。
 百人を超す地域住民が出資する同社の主力業務は農産加工品の開発と
販売だ。卵かけご飯専用のしょうゆ「おたまはん」などをヒットさせて
きたが、今大きな経営課題を抱えている。過疎化で原材料の栽培を委託
する農家が減ってきたことだ。
 「商品の安全、安心にこだわるためにも、原材料から自ら手がける利
点は小さくない」(高岡裕司専務)。
野菜作りに励む若者は農閑期には加工食品の生産を手伝うので、安定し
た収入を得られる。
 異業種からの参入も相次ぐ。民話の里、岩手県遠野市では自動車教習
所を経営する高田自動車学校(陸前高田市)が農業に進出した。まだ小
規模だが、無農薬米やトマト、しいたけなどを生産する。畑仕事に汗を
流すのは教習所の指導員だ。
 少子化で車の免許取得者は年々減っていく。対策として首都圏などか
らも受講生を集めようと、地元の非営利団体の協力を得て、三年前にグ
リーンツーリズムと組み合わせた合宿教習を開始した。二週間強の教習
期間中に農家への民泊や農業・乗馬体験を提供している。

農協中心の農政改めよ
 それをきっかけに遠野市の特区制度を活用して始めたのが今回の取り
組みだ。「将来は農業を会社の本業にしたい」と田村満社長は意気込む。
人口減と少子化に直面する地域密着型の地方企業にとって、農業は会社
存続を託す有力な分野である。
 もちろん、就農は思いつきでできる話ではない。いち早く農業に参入
した建設業者のなかにはすでに撤退したところもある。政府や自治体な
どが協力して、就農者への資金面の支援や、技術や経営感覚を高めても
らう新たな取り組みが必要だ。
 日本の農政は小規模な兼業農家とそれを組織化する農協を中心に据え
た仕組みから今も抜け出せない。意欲のある農家のやる気を損なうコメ
の減反政策はその象徴だろう。
 今回の追加経済対策に盛り込んだような選挙の票目当ての小粒の補助
金のばらまきでは効果は限られる。
農地法改正をきっかけに農業の門戸開放や農地の流動化に本気で取り組
み、若者が夢を持って就農できる環境を何としてもつくりたい。