農水省は24年食料安全保障の強化のために食料・農業・農村基本法を改正した。

しかし内容は「海外産に極度に依存する資材や農産物の国内自給を高め」ようというもの。

この文章それ自体はもっともらしい。

しかし国産率16%の小麦を18%に、7-8%の大豆を8%強にする程度の国産化だ。そのために農水省は必死になって3000億という予算を要求し、今や農水省の主要業務は、転作予算の配分になっていると言って良いほどだ。他方で、ほぼ100%自給のコメは縮小させようとしている。

これで食料安全保障といえるのか不思議だ。

 

安全保障の重大要素として兵站がある。武器も大事だが後方支援やロジができてない軍隊は弱い。特に兵隊や国民が飢えるようでは、安全保障の根幹が脅かされるのは必定。食料安全保障は、我が国の安全保障政策の根幹の一つに位置づけられなければならないと私は思っている。私がと言うより古今東西の兵法は全て兵站の重要性を語っている。

 

別に戦争をするわけではないが、アメリカ、オーストラリア、カナダなど輸出国はほぼ100%以上の体制を整えているし、EU諸国も50%以上は備えている。ロシアも穀物輸出国だし、中国は国家機密なので分からないところもあるが、1年分に近い、米、麦等の備蓄を行っている。

 

我が国には余るぐらいの米がとれる水田があるというのは僥倖と思わなければならない。コメや水田は、レアアースがとれるという南鳥島に匹敵するぐらい、それ以上に安全保障上重要なものと思う。

 

麦豆が完全に海外依存で、コメの備蓄が100万㌧というのは我が国にとって低すぎると思う。

最低でも600万㌧はあってほしい。

 

我が国には230万㌶の水田があるが、耕作放棄や休閑で使える水田は190万㌶しかない。他方稲を作ってる水田は151万㌶だ。その差40万㌶は転作作物が作られているが、そこに全部コメを作ったらどうなるか? 

減反廃止と言うことだ。するとおよそ250万㌧のコメ過剰になる。今の農業者の力量から見れば、200万㌧といったところだろうか。

過剰米を備蓄米として3年間積み増せば600万㌧になる。

 

4年目からは古い順に援助米として世界に放出すれば良い。世界のコメ市場は薄い市場で不安定だ。開発途上国から感謝されること確実だろう。

200万㌧の放出は必然的に国際的なコメに関わる情勢が入ってくる。その情報を見ながら、10年かけて200万㌧の輸出市場の開拓をしたらいい。財政的なお荷物ではなく、外貨を稼ぐ産業に変えれることになる。

 

ちなみに、財政負担の話をすると、最初の600万㌧の備蓄にかかる財政支援は、3000億円だ。この3000億円の捻出には同額の転作補助金が使える。減反をやめてコメを作るのだから転作用の予算はゼロにその分をコメ備蓄に使えると言うことだ。

 

備蓄増の議論をしていけば、確実に需要は増え、農林族が大好きな「需要に応じた生産」をしても「増産」になる。増産か、需要に基づくか、ではなく、両方とも満足できる解が、備蓄米の増加である。しかも安全保障に直接繋がる。

 

高市政権の安全保障論には、食料の安全保障が決定的に欠けている。もっとコメの増産、備蓄米の議論をすべきと思う。