第二幕の感想、いきます。
福岡公演が始まる前に!
第二幕は初演と変わらずアバハンによるヒデイットの取り調べから始まる。ヒデイット確保の際に酷い目に遭った二人(※日によってどちらが被害を受けるかは違うようです)と、そんなことは置いておいてとにかく駒鳥那由他君のことしか考えられないヒデイット。ヒデイットの出番はここまでだからか、渾身の暴走を見せる。使える範囲はとても狭いのに、暴れ回ること台風のごとし。使用人トリオ、マダム・グレル・劉トリオと並びアバハン・ヒデイットトリオも精度を上げてきた。
そして来ました、劉のソロ曲。切り裂きジャックについて歌うのだが、初演よりも劉の妖艶さが増していることも相まって曲の持つ薄暗さが強調されたような。この曲は切り裂きジャックの恐怖に震えるロンドン市民の心情を描いている。その中で女性たちは宵闇の影に脅え、男性たちはそんな女性たちを護ろうとする。そこで劉が狼少年のように恐怖心を煽る悪ふざけをするのだが、そんな劉の浮かべる厭らしい笑顔がいかにも曲者といった雰囲気で素晴らしいのだ。初演よりもぐっとうざったくなっている。必見だ。去り際の一瞬の表情までしっかり観て欲しい。
犯人を捕らえるために次の被害者の住処へと足を運んだ那由他坊ちゃんと古スチャン。猫を可愛がる様や逃げられてがっかりする様、本気で那由他坊ちゃんに抗議する様を見つつ古スチャンに萌え苦しんでいると、叫び声が響く。舞台装置が大幅に変わったので視覚的にとても分かり易くなっているところが有難い。たった一枚の壁でこれだけの変化を見せることが出来るのだなあ、などと思う次第。そして現れるのはヘタレ執事・グレルの後ろ姿。
グレルはここでヘタレ執事から苛烈な死神へと変わるのだが、その変化は初演と変わらず後ろ姿で語られる。アニメで部品毎に描かれるよりもずっと難しいと思うのだが、100回演じたグレたくにそんな心配は無用だ。背を伸ばし脚を開いた瞬間に、執事から死神へと一瞬で変わる。その変貌っぷりにグレたく推しの私は燃えるわけで…初演と演出的にも演技的にも大きな違いは無いのになぜこんなに感動したのかは自分でも分からない。劇場でお確かめください。
はい。やってきました!グレたくソロ曲!!
初演は歌いながら踊っていたところを、歌と踊りを分けたのでどちらもしっかり楽しめる仕様になった。分かり易く言うとアイドルグループで歌っているメンバーが軽く振りをしている横で歌っていないメンバーがガンガン踊っている、そんなイメージ。初演ではグレルの分身の女性アンサンブルのみだったところに男性アンサンブルが加わることでグレたくの女性的な部分が垣間見えるように。はい可愛い。
それを眺める那由他坊ちゃんと古スチャンの動きは初演とまるで違うので、そこも見所のひとつ。
逆光の中、姿を現したマダム。ここで狂気の殺人鬼×死神vs裏社会の番犬×悪魔という構図が出来上がる。グレたくと古スチャン、マダムと那由他坊ちゃんという二つの戦いが同時進行するわけだが、この二つの差も初演より広がっていたように思えた。
まずはグレたくと古スチャン。今まで圧倒的な強さを見せていた古スチャンが同等、もしくはそれ以上の力を持った相手と対峙することとなる。訳の分からない理論で古スチャンに襲い掛かるグレたくの異様さが、古スチャンの悪魔でありながら美学を持ち真っ直ぐに生きる姿をより魅力的に見せる。ここで現れる走馬灯劇場が、初演と視覚的に最も違う部分だろうか。しっかり映像を作ってきている。声のみの演出だった初演と違いしっかり目に見える形になったことで、古スチャンの戸惑いも引き立った。
次にマダムと那由他坊ちゃん。裏の顔を剥き出しにしたマダムに対する那由他坊ちゃんの態度が初演と違うような…初演では困惑の色が強かったが、再演では問い掛けをしつつもその芯にはマダムを裏から表へと引き戻そうという強い意志が見える。マダムも那由他坊ちゃんも同じように、大切な人には表で生きて欲しいと願っているのだと感じさせられる。初演では傷付いた大人と無垢な子どものやりとりのように見えたが、再演では心を置き去りにして体だけ大きくなってしまった少女と体の成長より先に大人にならなければならなかった少年のやりとりに見えた。あくまで個人的に、だが。簡単に言えば、那由他坊ちゃんよりもマダムの方がずっと小さく弱いものに見えたのだ。
那由他坊ちゃんに対して刃を振り上げるも、その姿の向こう側に大好きなお姉さんの影を見て動きを止めるマダム。そんなマダムを殺そうと腕を犠牲にして駆け付けた古スチャンを止める那由他坊ちゃん。マダムの裏の顔を保つ決心が鈍ったことを確認してその命を奪うグレル。事切れる寸前のマダムにグレルは侮蔑の言葉をぶつけてその上着を奪う。
この一連の動きは初演よりもスマートに、かつ抒情的になっている。ここの部分の考察は長くなるので別の機会…があれば、そこで。
マダムの走馬灯劇場が始まる。
幼い頃から赤にコンプレックスを抱いてきたひとりの女の子が、事ある毎に赤に幸せを奪われ踏み付けられて遂に赤の呪いに取り込まれてしまう。そこに現れた真っ赤な死神と共に、表の顔と裏の顔とを使い分けながら生きるようになった彼女。しかし、奪われる側から奪う側に回ることはそう簡単ではなく、最後の最後で恨みを愛が上回ったことで死神から引導を渡されることとなった。
この点に関しても考察は別の機会に。演出として変わったのは映像の細かさと迫力だろうか。初演でも恐ろしい完成度だったが、演出の細かい変化と、あとは劇場の差だろうか…音の迫力も増したために圧が凄い。歌の完成度はご存じの通りなので全身に浴びてきてください。
再演では両目から一粒ずつ涙が流れた。マダムがどんなに求めても得られなかった幸せを、マダムを大切に想う人が何人もいたのに、誰一人与えることが出来なかったということが哀しかった。初演とは違う感情が湧き起こった。
那由他坊ちゃんの命を受けてグレルを始末しようとする古スチャン。ここのアクションは、観る前の予測通りになっていた。セバ下とグレたくだと舞台上は動きのパターンが似ているのでどうしても差が出にくかったのだが、古スチャンとグレたくは古スチャンの優雅さとグレたくの激しさとで差があるために面白いコントラストが出来上がっていた。
そしてね…歌ですよ。申し訳ないんだがここは古スチャンよりもグレたくに重きを置きたい。長年進化を重ねつつ演じてきたため評価は高いが、未だに歌に関しては絶賛とはいかなかったグレたく。そんなグレたくが歌い上げる。たっくん自身の歌は上手いのに、グレルとしての出来にこだわったために超え切れずにいたハードルを、今回遂に超えてきたのだ。全身に鳥肌が立つ程の衝撃だったのだが、上手く言葉に出来ないことが悔しい…
そして、古スチャンの走馬灯劇場から使用人トリオが飛び出してくる。第一幕の序盤で古スチャンを振り回した曲で、今度はグレたくを振り回す。古スチャンはある程度3人の動きを予測して仕方なく参加していたが、グレルは訳も分からないままただただその勢いに巻き込まれていく。第一幕と並べて同時再生したい…こういうリフレインが好きなもので。余裕綽々で対応していた古スチャンと、え?は?となりながら動かされるグレたくの差がいい。とてもいい。
古スチャンが燕尾服を諦めてからの流れは初演とほとんど同じかな。だからこそセバ下と古スチャンの違いがはっきりと分かるので、そこを楽しんで頂きたい。キャストが変わることの楽しみというものはこういう部分にある。
2時間…長らくお待たせ致しました。ウィルマーの登場!
初演ではリアルに届く場所までにしか及んでいなかった高枝切狭が随分遠いところまで届くようになった。初演では横からの登場だったところを再演では奥からの登場になったことで、そういう誤魔化しが利くようになったのだろう。
なお原作ではセバスの方が高いとされているが、ゆんは181cm、輝馬は182cm。だが、並ぶとなぜか古スチャンがちょっと大きく見える。ヒールの差だろうか。それとも古スチャンの体型が異次元だからだろうか。輝馬も中々のスタイルなのだが。
それはそうと、ウィルマーの歌もかなり安定している。初演ではたまにひっくり返ることもあったのだが、再演では音を捉えていた。声の重みも増したかな。グレルに対する蹴りにもさらなる重みが…
アンサンブルさんも増えてウィルマーの上司感が増す一端を担っている。ウィルマー本人は相変わらず大して踊らないのだが、まあ…輝馬だし…大冒険だし…
モゴモゴ抗議するグレたくの可愛さは観て確認して頂くとして。
古スチャンと那由他坊ちゃんの会話が沁みる。執事モード発動中の古スチャンはちょっと反則なくらいに優しい声を出すのだが、それを聞いても一切甘えようとしない那由他坊ちゃんが愛おしくて堪らなくて…
アバハンの出番があるのだが、うん…飛ばす。
マダムの葬儀。第二幕で那由他坊ちゃんのソロが心置きなく聞けるのはここだけだと言ってもいいだろう。しかもここでは那由他坊ちゃんが悪の貴族としてではなく、ひとりの叔母を愛する少年として歌う。マダムの華やかで聡明な表の顔を穢すことなく、赤を纏うマダムを愛おしむ。それはもしかしたら、赤が似合わないと言ったグレルへの反論だったのかもしれない。
マダムの幻影と共に歌う那由他坊ちゃんは、その姿を追って上へと目を向ける。これは初演と変わらず「マダムは天国へと旅立った」という意味だろう。ただ、お姉さんはいいとしてヴィンセントは確実に地獄行きだと思うので、ヴィンセントとの再会を望むマダムには是非とも地獄に堕ちて貰いたいところ。私としては、二人揃って業火の中で「この程度は大したことではない」と余裕の笑みを浮かべていて欲しい。メリーバッドエンド大好き。
ちなみにマダムの幽霊とは言いたくない。この世に未練が無さそうだから。
切り裂きジャックの正体を明かさなかった那由他坊ちゃんに対し、Wチャールズが少々の疑念を持ち、劉と葬儀屋がその姿勢の脆さを告げる。その直後に古スチャンから己の弱さを突き付けられた那由他坊ちゃんが屁理屈で返すシーン、初演では本当に「何を言っているんだこの子は」という感想だったのだが、再演ではおそらく全く同じ台詞を口にしているにも関わらず「確かに」と思わされる。溢れる貴族感の成すものだろうか。
最後の曲。悪魔モードの古スチャンと一回り成長した那由他坊ちゃんとの意志が絡み合い一つになっていく。
しかし、片や相手の魂を美しいと言い狂おしく欲し、片や相手に「お前だけは僕の傍から離れるな」と命令する。これ…BLじゃないなら何だって言うの?那由他坊ちゃんが初演よりも大人びた分、完全にいけないものと化している。わあ…ここが天国かな…
この曲をBL抜きに語るのは私には無理、出来ない。それくらいグッときた。ありがとう那由他君。ありがとうゆん。今まで観た中で最高傑作だった。
第一幕よりは抑えめに書いたつもりだが全然抑えられていないような…
とりあえず感想はこれで終わりです。考察は暇な時に書く…かもしれないし、書かないかもしれない。頭の中でちゃんとまとめられたら書きます。
福岡公演と中国公演、頑張ってねー!!
福岡公演が始まる前に!
第二幕は初演と変わらずアバハンによるヒデイットの取り調べから始まる。ヒデイット確保の際に酷い目に遭った二人(※日によってどちらが被害を受けるかは違うようです)と、そんなことは置いておいてとにかく駒鳥那由他君のことしか考えられないヒデイット。ヒデイットの出番はここまでだからか、渾身の暴走を見せる。使える範囲はとても狭いのに、暴れ回ること台風のごとし。使用人トリオ、マダム・グレル・劉トリオと並びアバハン・ヒデイットトリオも精度を上げてきた。
そして来ました、劉のソロ曲。切り裂きジャックについて歌うのだが、初演よりも劉の妖艶さが増していることも相まって曲の持つ薄暗さが強調されたような。この曲は切り裂きジャックの恐怖に震えるロンドン市民の心情を描いている。その中で女性たちは宵闇の影に脅え、男性たちはそんな女性たちを護ろうとする。そこで劉が狼少年のように恐怖心を煽る悪ふざけをするのだが、そんな劉の浮かべる厭らしい笑顔がいかにも曲者といった雰囲気で素晴らしいのだ。初演よりもぐっとうざったくなっている。必見だ。去り際の一瞬の表情までしっかり観て欲しい。
犯人を捕らえるために次の被害者の住処へと足を運んだ那由他坊ちゃんと古スチャン。猫を可愛がる様や逃げられてがっかりする様、本気で那由他坊ちゃんに抗議する様を見つつ古スチャンに萌え苦しんでいると、叫び声が響く。舞台装置が大幅に変わったので視覚的にとても分かり易くなっているところが有難い。たった一枚の壁でこれだけの変化を見せることが出来るのだなあ、などと思う次第。そして現れるのはヘタレ執事・グレルの後ろ姿。
グレルはここでヘタレ執事から苛烈な死神へと変わるのだが、その変化は初演と変わらず後ろ姿で語られる。アニメで部品毎に描かれるよりもずっと難しいと思うのだが、100回演じたグレたくにそんな心配は無用だ。背を伸ばし脚を開いた瞬間に、執事から死神へと一瞬で変わる。その変貌っぷりにグレたく推しの私は燃えるわけで…初演と演出的にも演技的にも大きな違いは無いのになぜこんなに感動したのかは自分でも分からない。劇場でお確かめください。
はい。やってきました!グレたくソロ曲!!
初演は歌いながら踊っていたところを、歌と踊りを分けたのでどちらもしっかり楽しめる仕様になった。分かり易く言うとアイドルグループで歌っているメンバーが軽く振りをしている横で歌っていないメンバーがガンガン踊っている、そんなイメージ。初演ではグレルの分身の女性アンサンブルのみだったところに男性アンサンブルが加わることでグレたくの女性的な部分が垣間見えるように。はい可愛い。
それを眺める那由他坊ちゃんと古スチャンの動きは初演とまるで違うので、そこも見所のひとつ。
逆光の中、姿を現したマダム。ここで狂気の殺人鬼×死神vs裏社会の番犬×悪魔という構図が出来上がる。グレたくと古スチャン、マダムと那由他坊ちゃんという二つの戦いが同時進行するわけだが、この二つの差も初演より広がっていたように思えた。
まずはグレたくと古スチャン。今まで圧倒的な強さを見せていた古スチャンが同等、もしくはそれ以上の力を持った相手と対峙することとなる。訳の分からない理論で古スチャンに襲い掛かるグレたくの異様さが、古スチャンの悪魔でありながら美学を持ち真っ直ぐに生きる姿をより魅力的に見せる。ここで現れる走馬灯劇場が、初演と視覚的に最も違う部分だろうか。しっかり映像を作ってきている。声のみの演出だった初演と違いしっかり目に見える形になったことで、古スチャンの戸惑いも引き立った。
次にマダムと那由他坊ちゃん。裏の顔を剥き出しにしたマダムに対する那由他坊ちゃんの態度が初演と違うような…初演では困惑の色が強かったが、再演では問い掛けをしつつもその芯にはマダムを裏から表へと引き戻そうという強い意志が見える。マダムも那由他坊ちゃんも同じように、大切な人には表で生きて欲しいと願っているのだと感じさせられる。初演では傷付いた大人と無垢な子どものやりとりのように見えたが、再演では心を置き去りにして体だけ大きくなってしまった少女と体の成長より先に大人にならなければならなかった少年のやりとりに見えた。あくまで個人的に、だが。簡単に言えば、那由他坊ちゃんよりもマダムの方がずっと小さく弱いものに見えたのだ。
那由他坊ちゃんに対して刃を振り上げるも、その姿の向こう側に大好きなお姉さんの影を見て動きを止めるマダム。そんなマダムを殺そうと腕を犠牲にして駆け付けた古スチャンを止める那由他坊ちゃん。マダムの裏の顔を保つ決心が鈍ったことを確認してその命を奪うグレル。事切れる寸前のマダムにグレルは侮蔑の言葉をぶつけてその上着を奪う。
この一連の動きは初演よりもスマートに、かつ抒情的になっている。ここの部分の考察は長くなるので別の機会…があれば、そこで。
マダムの走馬灯劇場が始まる。
幼い頃から赤にコンプレックスを抱いてきたひとりの女の子が、事ある毎に赤に幸せを奪われ踏み付けられて遂に赤の呪いに取り込まれてしまう。そこに現れた真っ赤な死神と共に、表の顔と裏の顔とを使い分けながら生きるようになった彼女。しかし、奪われる側から奪う側に回ることはそう簡単ではなく、最後の最後で恨みを愛が上回ったことで死神から引導を渡されることとなった。
この点に関しても考察は別の機会に。演出として変わったのは映像の細かさと迫力だろうか。初演でも恐ろしい完成度だったが、演出の細かい変化と、あとは劇場の差だろうか…音の迫力も増したために圧が凄い。歌の完成度はご存じの通りなので全身に浴びてきてください。
再演では両目から一粒ずつ涙が流れた。マダムがどんなに求めても得られなかった幸せを、マダムを大切に想う人が何人もいたのに、誰一人与えることが出来なかったということが哀しかった。初演とは違う感情が湧き起こった。
那由他坊ちゃんの命を受けてグレルを始末しようとする古スチャン。ここのアクションは、観る前の予測通りになっていた。セバ下とグレたくだと舞台上は動きのパターンが似ているのでどうしても差が出にくかったのだが、古スチャンとグレたくは古スチャンの優雅さとグレたくの激しさとで差があるために面白いコントラストが出来上がっていた。
そしてね…歌ですよ。申し訳ないんだがここは古スチャンよりもグレたくに重きを置きたい。長年進化を重ねつつ演じてきたため評価は高いが、未だに歌に関しては絶賛とはいかなかったグレたく。そんなグレたくが歌い上げる。たっくん自身の歌は上手いのに、グレルとしての出来にこだわったために超え切れずにいたハードルを、今回遂に超えてきたのだ。全身に鳥肌が立つ程の衝撃だったのだが、上手く言葉に出来ないことが悔しい…
そして、古スチャンの走馬灯劇場から使用人トリオが飛び出してくる。第一幕の序盤で古スチャンを振り回した曲で、今度はグレたくを振り回す。古スチャンはある程度3人の動きを予測して仕方なく参加していたが、グレルは訳も分からないままただただその勢いに巻き込まれていく。第一幕と並べて同時再生したい…こういうリフレインが好きなもので。余裕綽々で対応していた古スチャンと、え?は?となりながら動かされるグレたくの差がいい。とてもいい。
古スチャンが燕尾服を諦めてからの流れは初演とほとんど同じかな。だからこそセバ下と古スチャンの違いがはっきりと分かるので、そこを楽しんで頂きたい。キャストが変わることの楽しみというものはこういう部分にある。
2時間…長らくお待たせ致しました。ウィルマーの登場!
初演ではリアルに届く場所までにしか及んでいなかった高枝切狭が随分遠いところまで届くようになった。初演では横からの登場だったところを再演では奥からの登場になったことで、そういう誤魔化しが利くようになったのだろう。
なお原作ではセバスの方が高いとされているが、ゆんは181cm、輝馬は182cm。だが、並ぶとなぜか古スチャンがちょっと大きく見える。ヒールの差だろうか。それとも古スチャンの体型が異次元だからだろうか。輝馬も中々のスタイルなのだが。
それはそうと、ウィルマーの歌もかなり安定している。初演ではたまにひっくり返ることもあったのだが、再演では音を捉えていた。声の重みも増したかな。グレルに対する蹴りにもさらなる重みが…
アンサンブルさんも増えてウィルマーの上司感が増す一端を担っている。ウィルマー本人は相変わらず大して踊らないのだが、まあ…輝馬だし…大冒険だし…
モゴモゴ抗議するグレたくの可愛さは観て確認して頂くとして。
古スチャンと那由他坊ちゃんの会話が沁みる。執事モード発動中の古スチャンはちょっと反則なくらいに優しい声を出すのだが、それを聞いても一切甘えようとしない那由他坊ちゃんが愛おしくて堪らなくて…
アバハンの出番があるのだが、うん…飛ばす。
マダムの葬儀。第二幕で那由他坊ちゃんのソロが心置きなく聞けるのはここだけだと言ってもいいだろう。しかもここでは那由他坊ちゃんが悪の貴族としてではなく、ひとりの叔母を愛する少年として歌う。マダムの華やかで聡明な表の顔を穢すことなく、赤を纏うマダムを愛おしむ。それはもしかしたら、赤が似合わないと言ったグレルへの反論だったのかもしれない。
マダムの幻影と共に歌う那由他坊ちゃんは、その姿を追って上へと目を向ける。これは初演と変わらず「マダムは天国へと旅立った」という意味だろう。ただ、お姉さんはいいとしてヴィンセントは確実に地獄行きだと思うので、ヴィンセントとの再会を望むマダムには是非とも地獄に堕ちて貰いたいところ。私としては、二人揃って業火の中で「この程度は大したことではない」と余裕の笑みを浮かべていて欲しい。メリーバッドエンド大好き。
ちなみにマダムの幽霊とは言いたくない。この世に未練が無さそうだから。
切り裂きジャックの正体を明かさなかった那由他坊ちゃんに対し、Wチャールズが少々の疑念を持ち、劉と葬儀屋がその姿勢の脆さを告げる。その直後に古スチャンから己の弱さを突き付けられた那由他坊ちゃんが屁理屈で返すシーン、初演では本当に「何を言っているんだこの子は」という感想だったのだが、再演ではおそらく全く同じ台詞を口にしているにも関わらず「確かに」と思わされる。溢れる貴族感の成すものだろうか。
最後の曲。悪魔モードの古スチャンと一回り成長した那由他坊ちゃんとの意志が絡み合い一つになっていく。
しかし、片や相手の魂を美しいと言い狂おしく欲し、片や相手に「お前だけは僕の傍から離れるな」と命令する。これ…BLじゃないなら何だって言うの?那由他坊ちゃんが初演よりも大人びた分、完全にいけないものと化している。わあ…ここが天国かな…
この曲をBL抜きに語るのは私には無理、出来ない。それくらいグッときた。ありがとう那由他君。ありがとうゆん。今まで観た中で最高傑作だった。
第一幕よりは抑えめに書いたつもりだが全然抑えられていないような…
とりあえず感想はこれで終わりです。考察は暇な時に書く…かもしれないし、書かないかもしれない。頭の中でちゃんとまとめられたら書きます。
福岡公演と中国公演、頑張ってねー!!