組織学習経営コンサルタント池本克之のブログ「今日も絶好調!」

組織学習経営コンサルタント池本克之のブログ「今日も絶好調!」

ドクター・シーラボとネットプライスの2社を上場させた池本克之がビジネス哲学やライフスタイルを発信するブログです。


”ローマは一日にして成らず”という言葉がある。

大きな都市も、
長い時間をかけて少しずつつくられていく。

会社も同じである。

強い会社をつくろうとすると、私たちはつい、
新しい戦略や画期的な仕組みを考えたくなる。

もちろん、それも大切である。

しかし、会社の強さを決めるのは、
意外ともっと地味なところにある。

挨拶をする。
整理整頓をする。
時間や約束を守る。
決めたことを最後までやり切る。

どれも難しいことではない。
だからこそ、差がつく。
問題は、「できるか」ではない。

「例外をつくらずに、続けられるか」である。

今日は忙しいから。
今回は特別だから。
これくらいなら大丈夫だから。

そうやって一つずつ例外を認めていくと、
少しずつ会社の基準が変わっていく。

そして、いつの間にか、
「これくらいならいい」が当たり前になる。

逆に、誰も見ていないところでも
基本を崩さない会社は強い。

なぜなら、そこには
「何を大切にする会社なのか」が、
行動として表れているから。

経営理念を立派な言葉で掲げることより、
日々の仕事で何を妥協しないか。

そのほうが、社員には伝わる。

小さな約束を守る会社だから、
大きな約束も守れる。

整理整頓を徹底する会社だから、
仕事の無駄にも気づける。

決めたことを守る会社だから、
戦略を実行し続ける力がつく。

結局、会社の文化とは、
特別な研修や制度によってつくられるものではない。
毎日の小さな判断の積み重ねによって、
少しずつつくられていくのである。

だから、明日から新しいことを始める前に、
一度、自分の会社を見渡してみる。

「うちは、忙しいときでも、
決めたことを守れているだろうか」
「都合の悪いときだけ、例外をつくっていないだろうか」

会社を強くするヒントは、
新しいことの中にあるとは限らない。
むしろ、
何を当たり前として守り続けるか。

そこに、その会社の本当の強さが表れる。

明日からまた一週間が始まる。
新しいことを始めるのもいい。
でもまずは、
決めたことを一つ、例外なくやり切る。

強い会社は、
そんな小さな積み重ねからつくられていく。

最近、社員の成長が遅い。

そう感じるとき、
社長は社員の能力に目を向けがちである。

しかし、少し視点を変えてみる。

その社員は、
「成長する余白」を与えられているだろうか。

仕事の進め方を細かく決め、
何かあればすぐに口を出し、
失敗しそうになれば先回りして止める。

これでは、
社員が成長しようとしても、
成長する余地がない。

会社では、
「任せています」と言いながら、
実際には細かなところまで
社長が決めていることがある。

本人が考える前に答えを出す。
本人が動く前に指示をする。
本人が失敗する前に修正する。

これでは、
社員にとって仕事は
「自分で考えるもの」ではなく、
「社長の正解を当てるもの」になってしまう。

そして厄介なのは、
それでも仕事が回ってしまうことである。

社長は安心する。
社員も怒られずに済む。

しかしその状態では人は大きくならない。

人が成長するのは、
少しだけ自分の力では届かないことに
向き合ったときである。

どうすればいいか分からない、
自分で決めなければならない、
やってみたけれど、うまくいかなかった、、、

そのとき初めて、
人は自分の頭で考え始めるのだ。

だから社長がつくるべきなのは、
「失敗しない環境」ではない。
「自分で考えて動ける環境」である。

もちろん、何でも好きに
やらせればいいわけではないので、
会社として守るべきルールや、
判断してはいけない領域は明確にする。

その上で、
「ここから先は任せる」と線を引く。

そこから先は、
社員自身に考えさせる。
これが大事だ。

社長にとっては、
見ているだけの時間が増えるかもしれない。
口を出したくなる場面もある。
だから言ったのに・・と思うこともあるだろう。

それでも、すぐに手を出さない。
これを徹底しよう。

人を育てるということは、
社長が「我慢する仕事」でもある。

社員の成長を求める前に、
社長自身が
”社員に任せられる会社”をつくれているか。

ここを考えてみてほしい。

社員が成長しないのではなく、
「成長する余白」を会社が
なくしていないだろうか?

社長が一歩引いたとき、
社員が一歩前に出る。

その環境をつくることこそ、
社長にしかできない人材育成なのである。

社員が成長する会社には、
必ず「成長できる余白」がある。

この連休中、テレビでやっているアジア大会を
見ていて、タイトルに書いたようなことを考えた。

今回の愛知でのアジア大会では、
大規模な選手村をつくらず、
ホテルやクルーズ船などを活用しているという。

莫大にかかるコストを抑える、
という考え方は理解できる。

しかし実際には、宿泊施設や交通などで
さまざまなトラブルが報じられている。

選手が十分に休める環境がない。
外国の選手に必要な設備が揃っていない。
迎えのバスが来なくて、
移動がうまくいかず練習できない。

選手にとっては、
本番のパフォーマンスに直結する問題である。

これを経営として考えてみると、
いろいろなことが見えてくる。

経営者なら、
「できるだけお金をかけずにやろう」
と考えることは当然ある。

しかし、削っていいコストと、
削ってはいけないコストがある。

ここを間違えると、
節約したつもりが、
後からもっと大きな損失になる。

社員教育を削る。
システム投資を後回しにする。
現場の確認を省く。

その結果、ミスが増え、顧客が離れ、
社員が疲弊する。

つまり、最初に削った金額以上の
コストを払うことになるのだ。

私は、お金をかければいい、
とも思わない。

お金をかけなくても、
知恵と準備でできることはある。

ただし、
お金をかけられないのであれば、
なおさら準備と設計が必要になる。

「予算がないからできません」
では、経営者として終わりである。

限られた予算で、
どうすれば目的を達成できるのか。

そこを考えるのが経営者の仕事だ。

一方で、「安くすること」を
目的にしてはいけない。

目的は、顧客に満足してもらうこと。
社員が力を発揮できること。
そして、結果を出すこと。

そのために、どこにお金を使い、
どこを工夫して削るのか。

この順番で考える。

このアジア大会を見ながら、
「もし自分の会社だったら」
「自分の会社が運営を任された側だったら」
どうするだろう、と考えてみたい。

削ってはいけないものを、
削っていないだろうか。

お金をかけられないことを理由に、
本来やるべき準備まで省いていないだろうか。

経営とは、お金をかけることでも、
かけないことでもない。

限られた資源で、
どうすれば目的を達成できるか。

そこまで考え抜くことが、
経営者の仕事であり、責任なのである。

 

会社をつくったばかりの頃は、
社長が何でもやる。

自分でアポをとり、営業し、
自分で判断し、自分で問題を解決する。
お茶も出すし、トイレも掃除する。
それらすべてが会社を前に進める力になっている。

しかし会社が成長すれば、
社長の役割は変わらなければならない。

いつまでも同じことを自分でやり続けていると、
会社は社長の時間以上には、
大きくなれないからである。

「自分がやったほうが早い」
この言葉は、社長にとって便利な言葉だ。

実際、その通りなのだろう。

でも、社長がやればやるほど、
社員が考える機会は減っていく。
そして社長が忙しいほど、
会社の未来を考える時間もなくなっていくのだ。

会社を大きくするとは、
社長ができることを増やすことではない。

社長がやらなくても、
会社が動くことを増やすこと。

仕事を手放す。
判断を任せる。
失敗も経験させる。

人と仕組みに、自分の仕事を移していく。

それは、社長が楽をするためではない。
社長にしかできない仕事をするためである。

目の前の問題を解決することから、
まだ見えていない未来をつくることへ。

「自分が何をするか」から、
「自分がいなくても、どうすれば会社が成長するか」へ。

会社が成長すると、
社長は「働く人」から
「未来をつくる人」へ変わらなければならない。

社長の時間が空いたとき、会社は止まるのか?
それとも、そこから本当の成長が始まるのか。

社長にしかできない仕事をすること。

これが社長にとっての「最重要事項」である。

経営者は、
自分の事業を毎日見ている。

だからこそ、
会社のことは誰よりも分かっている。
そう思いやすい。

しかし、
毎日見ているからこそ、
見えなくなっているということもある。

長年やっている仕事ほど、
「これが普通」
「これくらいは分かるだろう」
という思い込みが増えていく。

例えば、
自社の商品について考えるときも、
社長は商品の良さを知っている。

開発した理由も知っている。
苦労したことも知っている。

だから、
お客様にも
その価値が伝わっていると思ってしまう。

しかし、
初めて商品を見る人には、
まったく違って見えるかもしれない。

ここで必要なのが、
自分の事業を外から見る視点である。

・お客様だったら、
この商品を本当に欲しいと思うだろうか?
・初めてホームページを見た人に、
何の会社なのか伝わるだろうか?
・社員ではない人が、
この会社で働きたいと思うだろうか?

競合会社の社長が見たら、
この事業の弱点をどこだと考えるだろうか。

こうやって、
自分を一度「外側」に置いてみる。

すると、今まで当たり前だと思っていたことが、
違って見えてくる。

経営者にとって怖いのは、
問題があることではない。

問題があるのに、
問題だと認識できないことである。

特に、
売上がある程度立っている会社ほど、
この危険がある。

「今までこれでやってきた」
という成功体験が、
外から見る視点を奪ってしまう。

だから私は、
定期的に自分の事業を
第三者の目で見ることが必要だと思っている。

お客様の声を見る。
社員に聞く。
競合の商品を実際に買ってみる。
自社のホームページを、
初めて見る人のつもりで見てみる。

そして、信頼できる人に
「この会社の弱いところはどこですか」
と聞いてみる。

耳の痛い話ほど、
経営には価値がある。

経営者が見るべきなのは、
自分が見たい会社の姿ではない。

外から見たときに、
自社がどう見えているのか。

そこに、
次の成長のヒントがある。

今日、初めて自社を知ったお客様のつもりで、
自社の商品、ホームページ、
営業、接客を見たら、
「この会社から買いたい」と
本当に思うだろうか?

一呼吸おいて客観的に見てみる。

こういう時間も大切。

 

会社の中に、
いろいろな仕組みを
作っている会社がある。

評価制度、人事シート、1on1、
目標管理、360度評価、スキル管理、
社員研修、従業員サーベイなど。

今は、これらを自社だけで作らなくても、
外部のコンサルタントや
クラウドサービスを使って導入できる。

人事評価と1on1を連動させたり、
AIで1on1ができるツールもある。
スキルや研修まで管理できるサービスもある。

ところが、経営者から相談を受けていると、
よくこんな話を聞く。

「いろいろ作ったんですが、使えていません」
「評価制度は使っていますが、現状とあっていません」
「いろいろな仕組みはほとんど動いていません」

私は、ここに経営上の大きな問題が
あると考えている。

仕組みは、作っただけでは何の価値もない。

人事シートが立派でも、
誰も見返さなければただの書類。

1on1を導入しても、上司が部下の話を聞かず、
自分ばかり話していたら、
「1on1をやった」という記録が残るだけだ。

研修制度を作っても、
研修を受けた社員の仕事が変わらなければ、
会社にとっては投資ではなく
「費用」になってしまう。

つまり、
「仕組みがある」ことと
「仕組みが機能している」ことは、
まったく違うのである。

さらに問題なのは、
会社の中に仕組みが点在しているケースだ。

評価制度は評価制度、
人事シートは人事シート、
研修は研修、
1on1は1on1。

それぞれは存在している。
しかし、それらが会社の経営方針や
社員の行動とつながっていない。

これでは社員からすれば、
結局、何を基準に仕事をすればいいのか、、
が分からない。

経営者としては、
”こんなに仕組みを作ったのだから、
うちはちゃんとしている”
と思ってしまう。

しかし社員から見れば、
使われていない仕組みは
存在していないのと同じである。

仕組みを増やすことに熱心な会社ほど、
「仕組みを作ること」が目的になっていることがある。

本当に必要なのは、
新しい仕組みを次々に増やすことではない。

今ある仕組みが、現場で使われているか。
社員の判断や行動につながっているか。

そして、
会社が目指す方向と一貫しているか。

そこを確認することである。

仕組みは、多ければいいわけではない。

一つでも、
社員が理解し、
毎日の仕事で使い、
判断の基準になっているなら、

その方がはるかに価値がある。

外部のサービスを使うことも悪くない。

むしろ、自社で一から作るより、
専門家や既存のサービスを活用した方が
早い場合もある。

しかし、導入しただけで安心してはいけない。

経営者の仕事は、
「何を導入するか」だけではない。

導入したものが、
本当に会社の中で使われているか、を
確認することである。

仕組みは、作った瞬間に完成するのではない。

現場で使われ、
社員の行動が変わり、
会社の成果につながって、
はじめて仕組みになるのである。

 

2026年の夏も、
「今年も天候がおかしい」と
感じることが多かった。

気温は非常に高く、
一方で急に涼しくなる日もあった。
そして、記録的な大雨や台風も起きている。

気象庁によれば、
2026年夏の日本の平均気温は

平年より1.02℃高く、
1898年の統計開始以降で5番目の高さだった。

こうした天候は、
もう一時的な「異常」として
片づけない方がよさそうだ。

これからも私たちは、
こうした気候と付き合いながら
仕事をしていくことになる。

そう考えると、
変えるべきなのは天候ではない。

私たちの仕事のやり方である。

例えば、
大雨で交通が止まる。
猛暑で外に出ることが難しくなる。
台風で予定していた仕事ができなくなる。

以前なら、
「予定どおりにできないのは困る」
と考えていた。

しかしこれからは、
「できない状況になったら、どうするか」
をあらかじめ考えておく必要がある。

これは天候だけの話ではない。

AIもそうだ。
今、多くの業界で起きている人手不足もそうだ。
市場の変化もそうである。

これからの経営では、
「今までこうだったから」という前提が
どんどん崩れていく。

だからこそ経営者は、
変化が起きてから慌てるのではなく、
変化することを前提に会社をつくる必要がある。

仕事を一つの方法に依存しない。
一人の社員に依存しない。
一つの販売方法に依存しない。

そして、
「もしこれができなくなったら?」
という前提で、会社の仕組みをつくっておく。

人は、何も起きていないときには、
今のやり方を変えようとは思わない。

しかし環境が変われば、
昨日までの正解が通用しなくなる。

経営に近道はない。

だからこそ、
変化に合わせて小さく改善し続けることが
重要なのである。

天候をコントロールすることはできない。

しかし、
天候が変わったときに
どう動くかは決められる。

これからの経営に必要なのは、
未来を正確に当てる能力ではない。

予想と違うことが起きても、
すぐに対応できる会社をつくることである。

変化を恐れるのではなく、
変化することを前提にする。

それが、
これからの時代を生き抜く経営なのである。

突然ですが、
あなたは、
何を軸にものごとを判断していますか?

経営をしていると、
判断に迷う場面がたくさんある。

社員の意見もある。
お客様の要望もある。
取引先との関係もある。

もちろん、
自分自身の気持ちもある。
すべてを考えていたら、
なかなか決められないものだ。

私は、社長の判断には
「軸」が必要だと考えている。

その軸は
「この判断が会社にとって、
本当に良いのか」ということである。

もちろん短期的な利益だけを見る
という意味ではない。

・会社の価値観に合っているか。
・お客様に提供する価値を守れているか。
・社員が安心して働ける会社を
つくれているか。

そして、
この会社を5年後、10年後も続けていけるか。
そこまで考える必要がある。

ところが、社長が判断を迷うとき、
「誰がどう思うか」を
軸にしてしまうことがある。

社員に嫌われないだろうか、
お客様に怒られないだろうか、
社員が辞めないだろうか、
周りからどう見られるだろうか、、

しかし、これらを軸にすると、
経営判断はどんどんぶれていく。

会社にとって必要なことでも、
誰かが嫌がるならやらない。
本当は変えなければいけないことでも、
反対されるから先送りする。

その結果、会社にとって一番大切な判断が
できなくなる。

社長は人気者になるために
経営しているわけではない。

会社を成長させ、
存続させるために
経営しているのである。

だから、時には嫌われる判断も
必要になる。

社員にとって耳の痛いことを
言わなければならないこともある。
やめたほうがいい仕事を
やめることもある。

お金をかけるべきところには使う。
逆に、無駄なものはやめる。

人についても同じである。
頑張っているから残す。
長く働いているから守る。
仲がいいから任せる。

そういう感情だけで
判断してはいけない。

その人が会社にとって必要なのか。

その役割を任せることが、
会社の将来につながるのか。

そこを見る。

もちろん人を大切にすることは必要である。

しかし、人を大切にすることと、
何でも本人の希望どおりにすることは違う。

会社を守ることも、
社員を守ることの一つだからである。

私は、社長の判断で一番大切なのは、
「自分がどうしたいか」でも、
「みんながどう思うか」でもなく、

”会社にとって、何が正しいか”
だと思っている。

そして「会社にとって正しい」とは、
目先だけを見ることではない。

会社の価値観に照らして、
お客様に価値を届け、
社員が働ける環境をつくり、
利益を出し、
将来も続けていけること。

この全体を見ることである。

社長は、最後は一人で決めなければならない。

だからこそ、判断のたびに
気分が変わってはいけない。

その日の感情や、
相手の反応で
決めることが変わる会社は弱い。

判断に迷ったら、
自分にこう問いかければいい。

「この判断は、
会社を強くするのか。」

「会社を将来につなげるのか。」

そして、
「自社の価値観に反していないか。」

この軸があれば、
嫌われるかもしれない判断でも決められる。

社長の仕事は、
全員に好かれることではない。

会社にとって必要なことを見極め、
責任を持って決めることである。

経営者が判断の軸を持つ。

それだけで、
会社はぶれにくくなる。

 

この言葉を聞いて、
少し矛盾していると思うかもしれない。

しかし、経営では、この両方が必要である。

この言葉は、弊社のCCS(企業の価値観をまとめている
ルールブック)にも
「社長が社員に求めること」の項目に記載している。
私はとてもこの言葉を重要と考えているからだ。

2011年の東日本大震災のときの
トヨタの対応は素晴らしかった。
まさに「慌てるな、急げ」である。

震災直後、トヨタはすぐに対策組織を立ち上げた。

ただし、慌てて工場の復旧だけを
急いだわけではない。
まず従業員と家族の安全を確認し、
被災状況やサプライヤーの状況を把握した。

そのうえで優先順位を決め、
2011年3月17日には、被災地の復旧などに
必要な補修部品の生産を優先して再開した。

つまり、状況を冷静に見ながら、
決めたことは速く実行したのである。

私は、ここに「経営の大事なポイント」があると思う。

経営をしていると、毎日のように問題が起こる。

売上が落ちる。
社員が辞める。
お客様からクレームが入る。
予定どおりに仕事が進まない。

そんなとき、
経営者が慌てると、会社全体が慌てる。

経営者が「どうしよう」となれば、
社員も不安になる。

そして、目の前の問題を何とかすることばかりに
意識が向いてしまう。

だから私は、
何か問題が起きたときほど、
一度立ち止まることが大切だと思っている。

「いま、本当に急がなければならないことは何か?」
「逆に、少し待ってもいいことは何か?」
「そもそも、この問題を解決することが、
本当に会社にとって重要なのか?」

すべてを急ぐ必要はない。
急ぐべきものと、
急がなくていいものを分けることが重要だ。

ところが、
経営者は真面目なタイプであるほど、
全部を自分で何とかしよう、、としてしまう。

「あれもやらなければ」
「これも早くやらなければ」
「早くやるなら自分が動けばいい」
となる。

その結果、
本当に重要なことに時間を使えなくなる。

私は、経営者の仕事は「忙しく動くこと」ではなく、
「何に時間を使うかを決めること」だと思う。

そして、もう一つ大切なのが、
”平時の準備”である。

トヨタが震災時に動けたのも、
何もないところから、
その場で考えたからではない。

普段から仕組みや関係性をつくり、
情報を集め、
備えていたからこそ、
非常時にも判断して動くことができた。

これは中小企業でも同じ。

問題が起きてから
「どうしよう」と考えるのでは遅い。

社員が突然辞めたらどうするのか。
売上が大きく落ちたらどうするのか。
社長が仕事をできなくなったらどうするのか。

普段から考えておけば、
いざというときに慌てずに済む。

「慌てるな、急げ」とは、
ゆっくりやれ、ということではない。
焦って何でもやれ、ということでもない。

冷静に考える。
優先順位を決める。
そして、決めたら速く動く。

経営者に必要なのは、
何でも急ぐことではない。

「何を急ぐべきか」を見極める力なのである。

心理的安全性の高い職場にしたい、


そう口にする経営者は増えた。

しかし、毎日の現場を振り返ってみてほしい。
本当に社員は、本音を言えているだろうか。

上司の顔色をうかがい、
波風を立てないように沈黙していないだろうか。

多くの会社で起きているのは、
「何でも言っていいよ」という言葉の裏にある、
「でも、異論は認めない」という
静かなプレッシャーである。

しかもこれは
社長と幹部の間だけの問題ではない。

部下はリーダーにものを言えず、
リーダーは部長に意見を飲み込み、
その部長もまた、社長の顔色をうかがっている。

組織のあらゆる階層で、
「上の人に嫌われたくない」
「波風を立てたくない」
という忖度の連鎖が起きている。

そして、
トップの顔色をうかがう幹部たちの姿を、
一般社員はしっかり見ている。

上の階層が本音でぶつかれず、
ただ上の指示に「はい」と頷くだけの
イエスマンになっている会社に、
本当の意味での
”心理的安全性”など生まれるはずがない。

心理的安全性とは、
みんなが仲良く馴れ合うことではない。
何でも言いたいことを言うだけの、
責任のないおしゃべりの場でもない。

本当の心理的安全性とは、

「どれだけ厳しい意見を言っても、
人格を否定されない」
「失敗を報告しても、
責められるのではなく次に進める」

そう思える、揺るぎない信頼である。

だからこそ、まず社長やリーダー自身が、
身近な部下や幹部からの直言や異論を
歓迎しなければならない。

自分にとって耳の痛い意見を言った人を守る。
挑戦した結果の失敗を責めない。

そして、異論が出たときに、
「なぜそう考えたのか」と真正面から向き合う。

そこには、
経営者自身の覚悟が必要である。

心理的安全性は、
制度やスローガンを掲げるだけではつくれない。
上にいる人間が、
「自分に対しても本音を言っていい」と
日々の行動で示して、初めて組織に根づいていく。

あなたの会社にあるのは、
本当に前を向いて意見を言える安全性だろうか?
それとも、
上の顔色をうかがう上下関係が幾重にも重なった、
「静かな独裁」だろうか?

一度、組織の縦のつながりと、
現場の空気を確認してみてほしい。