判断軸がなければ経営は成り立たない。
私のところには
「この判断で合っていますか?」
「どう決めたらいいのか迷っています」
という相談がある。
これは能力の問題ではない。
むしろ人を大切にし、
真面目に経営に向き合っている社長ほど、
この悩みを抱えている。
理由は明確である。
感情や情が、
判断に入り込んでくるからである。
人間である以上、情があるのは当然だ。
長く一緒に働いてきた社員、
苦しい時期を支えてきた幹部、
簡単に割り切れない気持ちが生まれるのは
自然なことだ。
しかし、経営判断において
感情が数字より上に来た瞬間、
会社は確実に弱くなっていく。
経営判断の基本は、やはり数字である。
売上、利益、粗利率、
固定費、労働分配率。
加えて、
一人当たり売上、
時間当たり生産性、KPI達成率。
まず確認すべきは、これらの数値である。
数字は正直である。
「頑張っている」
「真面目である」
こうした言葉は、数字の代わりにはならない。
業績が下がっている。
KPIが未達である。
それにもかかわらず
「気持ちはあるから」
という理由で判断を先送りする。
この積み重ねが、会社の体力を静かに奪っていく。
強い会社の経営者ほど、判断が早い。
そして、その判断理由が明確である。
なぜその決断をしたのかを、
数字で説明できる。
さらに重要なのは、
その判断軸が
社長一人のものになっていないことである。
強い会社では、
部長も課長も同じ数字を見ている。
同じKPIを基準に判断している。
そのため現場の判断が速く、ブレない。
弱い会社はその逆である。
部署ごとに基準が違い、
上司ごとに判断が変わる。
結果として社員は
「社長はどう思うだろうか」
と顔色を見るようになる。
これではスピードは出ない。
責任の所在も曖昧になる。
判断軸とは、精神論ではない。
価値観だけの話でもない。
数字で共有できる共通言語である。
私はべつに感情を排除しろ、
と言っているわけではない。
ただし順番がある。
数字が先であり、感情は後なのである。
この順番を守れるかどうかが、
経営者としての分かれ道となる。
社長の仕事は、
常に正解を当てることではない。
判断の基準を示し、
それを組織に浸透させることである。
判断軸を持つ会社は強い。
判断軸が数字とKPIで共有されている会社は、、、
さらに強い。








