マダミ盤面の作り方③ 配置編 | マーダーミステリー・オンラインセッション!

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 プリッフーゥ!! こんにちはこんばんは子猫ちゃん、イケメンだよッ!

 例の超打撲、まだ甘食くらいの腫れは残ってて触ると痛いよ! 両サイドが盛り上がってるタイプの椅子、車のシートとかに座るとずっと当たってずっと痛いよ! 子猫ちゃんも転倒には気を付けてくれよな!!

 

 さて、今回もシリーズ『マダミ盤面の作り方』。第三回、一応完結編の今回は、いよいよ前景を作ってカードを配置していくよ! あとでココフォリアの仕様が変わるかも知んないし、もっと良いやり方があるかも知んないし、まあ参考程度に読んでよね! シリーズ最初から読みたい人はこちら!

 

 今回もわりかしディープめの需要に応える内容なので、「マーダーミステリーってなんだろう?」って検索できた子猫ちゃんたちは、このblogの頭の方から順に読んでみてね!

 

 さて、第一回ではカードに関する概論、第二回ではカードの作り方を考えてみたね! 今日はそのカードを並べる時にどんな事を考えたら良いかっていうお話をするよ! 正直ここまでは、自作のシナリオでカードを扱いたい人向けの内容だったから、既存盤面の移植を考えたい人向けの内容がやっと始まる感じだね!

 それでは第三回いってみよー! 今回も長いよ!!

 

盤面に必要な要素

 ココフォリアには「前景」という要素と「背景」という要素の二つがある。このうち「前景」はボードゲームで言う「ゲーム盤」を表している。「背景」は雰囲気要素で、画像が大きくぼかされ、何が表示されているのかハッキリとはわからない。マーダーミステリーの盤面をデザインするというのは、このゲーム盤、つまり「前景」を作る作業に当たる。

※もちろん「前景」の外側に要素を配置する事は可能だが、「盤外」という印象にはなる。これをどう扱うかはそれぞれの事情によるが、「盤外」の印象であることには違いない。

 

 では、この「前景」には、最低限何を配置されねばならないか。これを考えてみよう。スタイルによってここから若干の違いが出る。

 

▼ハンド型の要素

・カード置き場

・ハンド置き場

・(あれば)トークン置き場

 

▼パネル型の要素

・カード置き場

・トークン置き場

 

 当然パネル型のほうが要素が少なくスッキリまとめやすい。このうち「カード置き場」とはこれからプレイヤーに引かれる前のカードの配置を指す。山札を使うなら山札の置き場だ。「ハンド置き場」はプレイヤーが引いたカード(手札)を置く場所になる。

 これらが「最低限」必要な要素となり、これらを配置していくのが盤面作りのスタートとなる。だからまずカードのサイズが決まらないと盤面が作れない、というわけだ。

 本項ではカードのデータから作っているが、カードの内容やデザインが決まっていなくとも、サイズだけ決められていれば同様の作業に移れる。

 

 もちろん、これ以外にも必要な要素が存在するだろう。それはシナリオごとのルールによっても異なるし、装飾的な意味合いの要素も必要になるかもしれない。しかし、盤面の用途はカードを扱うことであり、そのカードをどう扱うかという要素は最優先されるべき事項のはずだ。

 

 では、実際にこれらの要素をココフォリア上に配置して、デザインを考えてみよう。

 

スペーサーで要素のサイズを決める

 さて、ここで前回紹介したスペーサーを実際に使っていこう。1x1ピクセルの半透過PNGファイルだ。別に軽いデータを用意しなければならない理由はない(最終的には使用しないし)のだが、まあデータは軽いに越したことはない。

 

 まずは「カード置き場」を作る。実際に一種類のカードを並べてみて、その下にスペーサーを敷く。この時、周囲ひとマス分は余白を取ろう。これをカードの種類ごとに同様に作る。追加するのはスクリーンパネルでも良いし、マーカーパネルでも良い。

 引き続き前回の作例を使用する。図のように実際にカードに重ね、重なり優先度をカードより低く設定しよう。前回カードの重なり優先度は「10」で設定したので、それより小さければ良い。今回は「2」で設定しておく。

 その後周囲をひとマス(1グリッド)囲うように拡大する。拡大の際は端や角をドラッグするだけで良い。これで『メガネの持ち物』のカード置き場が出来た。この時点ではサイズだけ固定しておこう。

 この「カード置き場」は、後で画像に変換する。要素ごとに画像を作って配置しても良いし、前景の場所に合わせて描いても良い。カードが小さいとこのように余白が大きく見えるかもしれないが、画像にする際にカード同様に周囲に透明部分を作れば、余白のサイズは操作できる。

 この場合、横14x縦6マスなので、336x144picの画像を作れば良いことになる(原寸の時)。

 置き場スペーサーを複製し、一旦カードをずらしてイメージを確認している。この時、改めてカードがスペーサーの下に回っていないか、重なり優先度の確認をすること。

 遺体のカードがズレてしまっているが、カード間には2マスの空きがあり、スペースが大きすぎるように感じるかもしれない。実際に置き場に画像が入り、また周囲を透明で削れば、だいぶイメージは違ってくる。

 置き場スペースが全て出来たら、一旦カードをどけ、次に「ハンド置き場」用のスペーサーを作る。

 

 この「ハンド置き場」はどの程度のサイズが必要になるだろうか? 作例のシナリオではカードは全20枚、プレイヤーが四人であるから、各プレイヤーが五枚づつカードを取得することになる。よって、カードの譲渡が起こらない限り、「ハンド置き場」には五枚しかカードが置かれない。だがカードを譲渡できる場合には? ハンドに六枚以上カードを持つ者もあれば、一枚も持たない者もあるだろう。だから五枚しか置けない置き場では足りなくなる。

 筆者の場合、ハンド置き場のサイズを考える時は、最低でも取得カード枚数の1.5倍、スペースが許すなら二倍程度は用意したいと考えている。作例の場合は五枚の1.5倍なら八枚、二倍なら十枚置けるスペースが必要だ。

 実際にカードを並べながら新しいスペーサーを作ってハンド置き場を複数種類作ってみた。左が八枚、中央が十枚並ぶスペースだ。例によって周囲に1マス余分を取っている。どちらも二段で構成しているため、どうしてもスペースが横長になってしまった。カード置き場も横型なのですべての要素が横長になり、結果として盤面が非常に横に長くなってしまう。そこで、間を取って九枚分のスペースを右に作ってみた。こうするとカード同様の縦長のスペースになるため、配置の際にバランスが取りやすそうだ。

 一旦今回は九枚スペースを採用することにし、プレイヤー人数=四人分用意する。

 カードをすべて退け、置き場のスペーサーだけの状態にする。この置き場スペーサーを配置していく事で盤面作りを行う。別にカードそのものを並べた状態で作業を行っても良いし、見た目のイメージもしやすくなるだろうが、ちょっとずらすごとに大量のカードを移動する羽目になってとても面倒だ。お勧めはしない。

 さて、上記の図ではグリッドがある部分(前景の範囲)から要素がはみ出しているのが分かるだろうか? この時点で既にデフォルトの前景サイズでは足りていないので拡張しなければいけないことが分かる。配置が済んでから最終的な前景サイズを決めよう。

 ここからは、前景の配置を決定する時の考え方について追いながら、実際に配置してみる。

 

盤面配置の試行

 さて下準備は終わり、ここからがいよいよ本番だ。前項で作った「要素」、カード置き場とハンド置き場とを実際に配置して、君の盤面が実際にどんな感じになるのかを見てみよう。

 並べてみた。実際にゲームをするプレイヤーは、全体を見渡す時にこんなふうに盤面を見ることになる。なお、上では分かりやすくするため要素ごとに隙間を空けているが、実際にはこの隙間は不要である。

 

 ここでこの配置が正しいのか考えてみる。現状だとカード置き場が均等に置かれており、スペースが一人分余っている。余った場所にはタイトルなり見取り図なりゲーム進行表なり練習用カードなりを入れれば良いとして、カード置き場については一考の余地がある。

 作例の場合、カードはプレイヤーキャラクター四人の持ち物+被害者の遺体の情報だ。持ち物情報と遺体の情報は一括りにしないほうがプレイヤーが分かりやすいのではないだろうか?

 

 たとえばこんなふうに、被害者の情報だけ並べ方を変え、中央に配してみる。(センターが出しづらかったのでハンド置き場は隙間を無くし、ずらして配置している)

 被害者のカードがフォーカスされやすく、だいぶゲーム的な盤面になってきた。これはこれで良い感じだが、他のパターンも試してみよう。被害者を中央に配置するのはそのまま、他のカード置き場も同じ形にしてみると、だいぶ構成が変えられるはずだ。

 

 横一列配置。奇跡的に横幅がピッタリ合ってw、このままでもよく見える。

 

 更に配置を変えてみた。プレイヤー人数が四人でなく、五人とか六人であるなら、この配置が良いかもしれない。四人用だとすると余剰スペースが多く、大きすぎる。相対的にカードが小さくなってしまう。

 

 下側のプレイヤーのハンド置き場を、横位置の二段十枚置きスペースと入れ替えてみた。収まり自体は良くなったし、デッドスペースも減ったように見える。が、あくまで比較上の話だ。

 

 こんなふうに、レイアウトをあれこれ試行しがら「デザイン上の正解」を探っていくことになる。この段階の作業をする際、「カード置き場」と「ハンド置き場」の状態、つまり要素をグループ化した状態であれこれ気軽に動かせるのが、このやり方の大きな利点だ。

 

盤面配置の「正解」

 さて、ここからはいくつか試行したパターンの中から、「デザイン上の正解」に最も近いものを探していくことになる。では、ここで言う「デザイン上の正解」とは何だろう?

 デザイン上の正解と言うと、大抵の人は見栄えの良さの話だと思われるのではなかろうか。しかしそうではなく、見栄えは一要素に過ぎない。ではデザイン上の正解とは何か。

 デザインというのは、常に意図があってされるものだ。例えば広告デザインなら「目の引きやすさ」と「伝えたい要素の伝わりやすさ」が二大要素になる。マーダーミステリーの盤面をデザインするのであれば、その意図は「ゲーム盤としての使いやすさ」でなければならない。見栄えを考える時にも、まずゲーム盤としての使いやすさを向上させるために見栄えさせる必要があるわけだ。

 デザインと言うと、何だか難しいとか、センスがないと出来ないことのように思われるかもしれない。が、つまりはいかに「プレイヤーが遊びやすく」するために頭を絞れるか、という考え方だけ出来ていれば、「デザイン上の正解」は探れるのだ。

 ただでさえ頭を使って遊んでもらうゲームである。余計な部分でストレスをかけないよう設計したい。プレイヤーがユドナリウムやココフォリアに触れるのが初めてでもストレスなく遊べるようにしたい。これが「デザイン上の正解」を探る作業となる。

 

 細かい点を挙げるときりがないので、本項は最も基本的な考え方に集約してまとめようと思う。最も基本的な、重要な考え方とは、「画角」だ。

 ココフォリアでもユドナリウムでも、プレイヤーは画面を拡大縮小できる。そのウィンドウのサイズですらまちまちだ。一画面の中でDiscordのウィンドウと両方を表示させようとしているかも知れないし、別モニタで全画面化して出しているかも知れない。スマホやタブレットの画面で全体図を把握しながらPCで操作しているかも知れない。プレイヤーごとの環境は制作側には計り知れないし、どんな環境でも使いやすいのが理想である。

 

 正解については実は前回サラッと触れてしまっているのでもったいぶらずに書くが、全体のレイアウトは正方形に近いほど正解に近いと筆者は考えている。本当の理想は円なんだが、基準となるマス目もカードも正方形を基準に作られているので、円形のレイアウトだとデッドスペースが増えてしまう(=全体を見た時のカードのサイズが小さくなる)。前回カード縦横比を4:3(3:4)比率でお勧めしたのもこれが理由だ。

 実際に良く見る盤面が16:9の横長で作られている事は少なくない。これは一般的なPCモニタで最大化した際のウィンドウサイズを基準に作られていると思われる。たしかにプレイ配信などに用いるにはレイアウトがしやすい形ではある。これはプレイヤーにウィンドウ最大化を強いる構造になっている事は自覚する必要がある。が、実際にはウィンドウを最大化した状態で見続けるとは限らないし、ツールのウィンドウ移動のストレスもかかる。また、ブラウザのツールバーやナビゲーションバー等によって縦幅も短くなる。このため16:9の比率は概ね使いづらいと断言できる。

 プレイヤーの環境によって異なりはするものの、概ね横幅は画面の半分くらい、つまり1920x1080のHDモニタ基準なら横960x縦1080くらいのウィンドウで表示される範囲を基準に決めていくのが良いと筆者は考えている。これが要するに正方形だ。このウィンドウで全体を表示しやすいサイズ感、というのを基準として考えた場合、横長になればなるほど使いづらいのは分かると思う。

 

 正方形(理想は円形)に近いほど良い、という理由はもう一つある。それはカードの移動距離は短ければ短いほど良いからだ。

 カードをやり取りする際、プレイヤーは目的の場所まで移動したいカードをドラッグする事になる。ハンド型の盤面なら、カード置き場からハンド置き場まで。またはハンド置き場から別のプレイヤーのハンド置き場まで、それぞれカードをドラッグすることになる。この距離が短ければ短いほどストレスは軽減できる。

 なので、カード置き場は出来るだけ中央に配置し、すべてのプレイヤーが持っていきやすくする必要がある。しかし反面、この配置だと、ハンド置き場からハンド置き場へと移動する際、どうしても他のカードが置いてある場所を経由することになり、事故が怖くなる。

「そんな不安ある?」と感じた人は、恐らくPCスペックも回線速度も恵まれた環境にいるのだろう。が、すべてのプレイヤーがそうではない。どちゃくそ処理が重い状況でえっちらおっちらカードを移動しなければならない人の環境を想像しながらデザインするべきだ。

 ちなみにパネル型の場合は移動するのがチップ/トークンのみになり、この部分での不安や事故率が低い。この点がパネル型のメリットの一つである。

 

 さまざまなレイアウトを試し、配置を変えながら、どのパターンが最もカード移動距離を少なく出来るかを考えて正解を探っていこう。

 

 作例では三番目に挙げたこのパターンが最もまとまりがよく見える。この場合は右端のカードを左端のプレイヤーが取る時の距離が最大移動距離になる。もう少しこれを軽減、短縮することは出来ないだろうか?

 

 と思い、ハンド置き場を横位置にしたもので挟むパターンを試してみた。プレイヤー間でカードを移動する際にカード置き場を経由するデメリットはあるものの、最大移動距離は短く出来たのではないだろうか?

 左が変更前、右が変更後。比率が違ってしまって正確さには欠けるがw、まあ最大移動距離は小さく出来たのがわかる。

 プレイヤーのハンド間での移動距離も短く出来た。カード置き場を経由するのはデメリットだが、最も通りやすい中央に「最も引かれやすい(=無くなりやすい)」被害者のカードが置けるため、まあドンマイかなー。といった考え方をしている。

 

 オッケーじゃあこれで行こう! となった最終的な形はやはり正方形に近くなった。個人的には正方形は理想だとしても4:3(3:4)に収まっていれば及第点だと思う。配置を調整するついでに、カード置き場に名前を表示できるタグ部分があった方が良いかと思い、縦幅を2マス伸ばすことにした。

 

 いったんこれでレイアウトは決めてしまうことにする。まずはカード置き場を配置固定(ショートカットL)し、前景のサイズを合わせておこう。横幅はバチピタ、縦幅は4マス足りていないので伸ばす。前景を右クリックし、「前景・背景の変更」から「フィールド設定」を出してサイズを変更する。この例の場合、横幅はデフォルトの40のまま、縦幅を30から34に変更する。

 ファッ!?

 前景の縦幅を変更したら、上方向に2マス&下方向に2マス拡張された。

 実は筆者は、記憶違いなのか仕様が変更されたのか分からないが、前景の基準点は左上だと認識していたため、左上グリッドを基準に配置していたためこういう事態となった。実際には前景の中央を基準に拡張/縮小されるため、こういう事態になってしまっている。泣きながら固定を解除、移動、再度配置固定を繰り返した。置き場要素だけだったからまだ傷も浅かったが。

 読者の皆様におかれては、前景サイズを合わせてから配置を固定するよう留意されたい。

 実は左上基準だと思い込んだまま本稿を書き進めていたため、ここで本文の修正も必要となった。泣きたい。ちゃんと調べてから書くべきであるw

 

 直した。ついでにこれ以上移動はないものとしてカードも置いてみた。盤面全体を見るとカードが小さく感じるが(少ないせいもある)、これはハンド型盤面の宿命でもあるため、ある程度は致し方なしだ。

 作例では前景をバチピタサイズで設定しているが、これは前景に他の意味を持たせない作りのミニマム設計だからだ。前景に他の意味を持たせるならそれなりのレイアウトが必要になる。

 

 実際にプレイヤーが5枚づつカードを引いた状態を考慮する。やはり中央エリア、カード置き場の空いた部分がだいぶ大きな空白となってしまう。この余剰スペースに意味を持たせるか否かについてもこの先で考える必要がある。

 カード置き場については余裕が大きすぎるように見えるかも知れない。が、これは必要な余白であり、カードを他所から貰ってきた時のためのスペースだ。つまり、通常は必要ないが、必要になるかも知れないスペース、ということになる。このスペースの使い方もこの先で考えよう。

 

 さて、試行錯誤の末、なんとか盤面のレイアウトが確定できた。残りは「前景」「背景」「カード置き場」「ハンド置き場」の四種類の要素の画像データ作りである。

 が、ぶっちゃけテストプレイなら全然これで行ける

 むしろ要素を画像に置換していく前に、実際のプレイを見て、使い勝手などを確認するべきかも知れない。まあ殺風景なのは間違いないが…。

 

 さて、本稿を閉じて「以下次号!」とする前に、盤面レイアウトのプラスアルファについても触れておこう。

 

+α:画角と画角外の要素

 さて、前項では盤面レイアウトは「正方形に近いほど正解に近い」と書いた。実際、作例でも特に目指したわけでもなく、試行錯誤の末に正方形に近い形に落ち着いた。

 ただ、それはそれとして、「プレイヤーのウィンドウは正方形ではない」という問題は残るのだ。ウィンドウが縦長なら上下に、横長なら左右に余白が残ってしまうのが、この正方形の構図だ。逆に言えば、縦長ウィンドウでも横長ウィンドウでも、「ゲームに必要な部分は必ず表示し切れる」ために正方形の構成になっていくのである。

 

 ここで「画角」という概念を新たに考えに取り入れる。

 ここまでは、盤面全体をプレイヤーが見ている前提で構成を考えてきた。しかし、実際のプレイにおいて、必ずしもプレイヤーが盤面全体を見渡しているとは限らない。拡大/縮小の機能を用い、盤面をある程度切り抜いた状態でプレイしているかも知れない。

 もっともこれはゲームの性質にもよる。そのシナリオは、プレイヤーは常に全体を見渡していたいゲームなのかも知れない。自分や特定のキャラクターの部分さえ見えていれば良いのかも知れない。これも、ゲームの性質上の要求に従って、盤面のデザインである程度コントロールすることが出来る。例えばだ。

 

 左の図をPC1『メガネ』役のプレイヤーの視点だとする。現状だと要素が画像に置換されていないので分かりづらいが、左上が『メガネ』のハンド置き場だとしよう。

 この時『メガネ』プレイヤーは、絶対に自分のハンド置き場は表示させておきたいはずであるから、左上を基点として盤面を拡大/縮小する事になる。

 盤面を拡大する時、画角から切り捨てられるのはどこだろうか? 構図上、画面下側にあるほかプレイヤーのハンド置き場だ。この場合、「よく絡む」キャラクターのハンド置き場は画角に入れておきたくなるだろう。となると、すぐ隣のハンド置き場は、『メガネ』がよく絡みたくなるキャラクターであるべき、となる。逆に言えば、そうでないキャラクターを隣に置くことで、全体を表示したくなるように誘導することも出来るわけだ。

 また、『メガネ』視点、自身のハンド置き場のすぐ下に自身の持ち物カードがある。カード置き場にある自身のカードは、自分自身が取得できない場合、最も興味のないカードということになる。誰が持って行ってどう扱ったかについては、カード置き場ではなく他人のハンド置き場を注視するべきだからだ。

 この例の場合、最も興味のないはずのカードが必ず画角内に入ってしまう構成になっている。このため、どちらかと言えば全体を表示させたくなる配置だ。逆に拡大した画角で見て欲しい時は、自身の持ち物カードは、ハンド置き場から最も遠いところに配置されるべきである。

 

 こんなふうに、プレイヤーが盤面のどこを切り取って表示したくなるか、あるいは切り取りたくならないか、というのを、構成によってある程度誘導が出来る。もちろん、誘導したい先がどちらになるのかは、シナリオのゲーム性が決めることだ。

 

 

 と、プレイヤーのウィンドウサイズを気にし始めた時、やっぱり気になるのは配信映えについてだろう。一般的な動画は16:9サイズで作られているため、盤面もその比率で作られている方が、配信する側としては扱いやすいのではないかと思われる。

※この点については「配信側にとって扱いやすい盤面サイズ」というのが存在するいかも知れないので、有識者の意見を聞いてみたいところだ。

 そこで、ゲームに使用する部分の盤面は正方形の構図で置きつつ、16:9の画角で扱った時に横位置に出来る空白を埋める方法も考えてみたい。

 

 作例の場合、現在の前景サイズは横40x縦34だ。概ね正方形、どちらかというと4:3の比率になっている。これを16:9に近づけようと思うと、横幅は60.44マス必要になる訳だ(計算の仕方は良いよね?)。なので、左右にそれぞれ10マス分の何かを置けば、16:9で表示させても寂しくはならない構図になる。

 ここに「ゲームに必ずしも必要ではなく、かつあった方が親切」な要素、表示してもしなくても良い要素を置くことで、ゲーム盤面の構図を崩すことなく16:9に対応させられる。これが「画角外の要素」だ。

 筆者がよくやるのは、前景の外側に直接スクリーンパネルを置いてしまうやり方である。構図が後からでもいじりやすい。

 

 スペーサーを使って配置すると、こんな感じだ。web関連の仕事や動画関連の仕事をしていると、16:9以外の構図を見ると心身に不調をきたす向きも少なくないというが、これでかなり安心できたのではないだろうか?

 

 で、この10x34(縦に分割しても良い)のバナー部分に何を置くのか? という話だが。これはもうシナリオにもよるし、デザインセンスにもよるので何とも言えない。要は「見たら見たで便利だが、ゲームプレイ中ずっと見ている必要もないもの」を置くのがベストである。

 例えばの話だが、

 

・飾り罫・タイトル要素など

 グラフィカルなデザインの力で構図の両面を支え、世界観を補完するのは、とても良い選択だ。やり方によってはきちんと中央部分(前景部分)に視点を集中させられる。下記の他要素と組み合わせることも可能だ。キャラの立ち絵を置いておくだけでもそれっぽくなって良い。

 また、意識から完全に外させておく事が出来るため、トリックも仕込みやすい。突然何かが現れてびっくりする、なんかエモい、などの仕掛けをするのにも向いている。

・フェイズ進行一覧

 最も一般的かも知れない使われ方。プレイヤーはゲーム中にHOを見、盤面を見ながらプレイすることになるため、ルールのPDFやDiscordまで意識を回せないことが多い。「今何をしているところか」「次はどんなフェイズか」を示すことで、プレイの助けに出来る。チップなどを組み合わせ「今どのフェイズか」を図示することも可能。

・ルール

 カードの取り方や扱い方など、シナリオ独特のルールについて、画角外にでもまとめておくと親切度は上がるだろう。ただし、絶対に忘れてはならないクラスのルールならば、画角内に納めておくべきだ。

・練習用カード

 どんなシナリオであっても、そのセッションがココフォリア初体験となるプレイヤーは存在し得る。それよりもっと深刻なのは、ちゃんと説明を受けないまま何となく利用し続け、何となく分かっている気になったプレイヤーの方だったりはする。盤面の中に練習用カードを置いておくだけで、GMとしても説明が楽になる。練習が終わったらどけてしまっても良いし、上記のようなフェイズ進行だったりルールだったりをまとめたカードにしておいて、バナー部分に置き続ける手もある。

・ショートカットキー一覧

 筆者は「ココフォリアのショートカット普及し隊マダミ支部長」なので、たいがい盤面のどこかしらにショートカットキー一覧を置いている。事故を防ぐにはこれが一番良い。普及しろ!

✘見取り図

 見取り図は画角外に置いてはならない。必要ならモニタにマジックで書いておくべき重要事項だ。マーダーミステリーの盤面に見取り図が置かれた場合、そこは絶対に画角外にならない。プレイヤーは常に見ていなければならないものと認識してしまう。見取り図や間取り図を置くなら画角内に配置すべきだ。

 

 これら画角内の要素を、実際に前景の内部として扱うべきか、スクリーンパネルとして前景外においておくべきかについては、グラフィック上のデザインの方向性による。例えばシンプルな飾り罫、タイトルバナーなどなら、前景の画像の中に入れ込んでしまったほうがまとまりが良かったりするかも知れない。バナー部分を透過させる時、下に前景が見えてほしいのか、背景が見えて欲しいのかによる。このあたりの話はもう個別の案件になるため正解はない。

 

概ね完成

 さて、こうしてマーダーミステリーのためのゲーム盤面が「概ね」完成した。とは言っても、グラフィカルなデザインが気になる向きにとっては「ここからが本番」になるかも知れないが。

 どちらにせよ、ここまでで「ゲームに使うための盤面」はいったんfixし、現在はスペーサーPNGで置いてある各要素を、画像に変換していく作業に移る。いわゆる「お部屋づくり」の感覚に近い作業だ。

 作例の適当さは御覧頂いた通りであるのであまりデザインセンスには期待しないでほしいがw、次回で引き続き盤面の完成を目指していこう。

 もし君が自作シナリオの盤面を作っているのであれば、ここまで出来たらもうテストプレイに入っているべきだ。テストプレイのフィードバック作業の傍らで、次の作業を行えば良い。

 だいぶ長い連載になったが、次回更新に乞うご期待! である。

 

てなことでね!!!

 イケメンは普段こんな事考えながら盤面作ってるよ―、ってなお話しでした! こうでなきゃいけないって言う気は全然ないけど、一つの正解ではあると思うよ! 参考にしてね!!

 そしてキミも自作盤面を使ってGMしてみようZE!!!!

 

 …………ええっ?

 盤面は作ったしGMもしたいけど、どこですればいいか分からない? 友達はみんな狩り尽くしちゃった、だって?

 もしかして子猫ちゃん、まだあのサーバーを知らないのかい!?

 

 6000人を超えるマダミストが、今日も新しい募集が立つのを虎視眈々待ち受けている、あのサーバーだよ!!

 知らざぁ言って聞かせやしょう、そいつぁ、ここサ!!!!


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 そして夜空に叫ぼう心から!!

 レッツ・マーダー!!!!

 

 盤面づくり記事も次回完結予定! 震えて待て!!!!

 

 

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